28 6歳の男児。気管支喘息に対して内服加療中である。本日昼食後に呼吸が苦しくなり、母親が救急要請した。
救急隊到着時観察所見:意識JCS1。呼吸数28/分。脈拍124/分、整。血圧90/72mmHg。SpO2値95%(室内気)。眼瞼腫脹、皮膚紅潮および大腿部と前胸部とに膨疹を認める。吸気時の喘鳴音を聴取する。
この傷病者で緊急性が高いと判断する所見はどれか。1つ選べ。
1 血圧90/72mmHg
2 SpO2値95%
3 眼瞼腫脹
4 膨疹
5 吸気時喘鳴音
解答 5
【AIによる回答】
第28問は、小児のアナフィラキシーにおける重症度判断と、気道緊急のサインを特定する問題です。
解説:吸気時喘鳴(ストライダー)と気道閉塞のリスク
正解は5(吸気時喘鳴音)です。
この男児は、食後に呼吸苦、眼瞼腫脹、皮膚の紅潮、膨疹(じんましん)が出現しており、典型的なアナフィラキシーの状態にあります。その中で最も緊急性が高いのは、生命維持の基盤である「気道(Airway)」の危機を示す所見です。
5 吸気時喘鳴音(きゅうきじぜんめいおん):
吸気時(息を吸う時)に聞こえる「ヒューヒュー」「オットセイの鳴き声のような」音は、喉頭浮腫(のどの腫れ)による上気道の狭窄を意味します。
アナフィラキシーにおいて上気道が狭窄しているということは、いつ完全に窒息(気道閉塞)してもおかしくない極めて危険な兆候です。
喘息の既往があるため、呼気時(吐く時)の喘鳴(ウェーシング)も起こり得ますが、「吸気時」の音はより緊急度の高い気道緊急(喉頭の腫れ)を示唆します。
他の選択肢の分析
1 血圧90/72mmHg:
6歳児の収縮期血圧として90mmHgは下限に近いものの、現時点では「ショック(著しい血圧低下)」とまでは断定できません。しかし、今後低下するリスクはあります。
2 SpO2値95%:
やや低めですが、直ちに生命に関わる数値ではありません。ただし、気道狭窄が進めば急激に低下します。
3 眼瞼腫脹 / 4 膨疹:
これらはアナフィラキシーの「皮膚・粘膜症状」であり、診断の助けにはなりますが、これ自体が直接の死因になることはなく、呼吸器症状に比べれば緊急度は低くなります。
救急救命士としての臨床的視点:小児アナフィラキシーの対応
アドレナリン筋肉内投与の決断:
アナフィラキシーにおいて「呼吸器症状(喘鳴・呼吸苦)」がある場合、それはアドレナリン(エピペン等)の絶対的な適応です。血圧が下がる(ショックになる)のを待たずに投与する必要があります。
体位の維持:
本症例では吸気時喘鳴(上気道狭窄)があるため、無理に寝かせると喉の腫れや舌根沈下でさらに呼吸が苦しくなることがあります。本人が座りたがる場合は、その姿勢(起坐位)を維持させることが重要です。
「喘息」との誤認に注意:
「喘息の持病がある子がゼーゼーしている」と聞くと、単なる喘息発作だと思い込んでしまいがちですが、食後の発症で皮膚症状がある場合は、必ずアナフィラキシーを疑い、全身管理を行う必要があります。
まとめ:
「アナフィラキシー + 吸気時の音(のどの腫れ) = 窒息寸前の超緊急事態」
皮膚の赤さや血圧以上に、「空気の通り道」の異常を最優先でキャッチしましょう。
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