某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。
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策定日:2026年2月13日
運営者:救命士王
1 51歳の女性。ステーキ店で食事中、突然、喉を押さえながら苦しみ出し卒倒したため、日撃者が救急要請した。目撃者が口頭指導により胸骨圧迫を実施し、AEDが装着されていた。
救急隊現場到着時、目撃者による胸骨圧迫が行われており、傷病者の反応はなく、口腔内から肉片が出ているのを認める。
次に行う対応はどれか。1つ選べ。
1 呼吸・脈拍の確認
2 通報者への状況聴取
3 気管内チューブの準備
4 喉頭鏡。マギール鉗子による異物除去
5 装着されているAEDから救急隊AEDへの変更
解答 1
救急隊が心停止(疑い)の現場に到着した際、たとえ目撃者が胸骨圧迫を行っていたとしても、救急隊員自身が**「実際に心停止状態であるかどうか」**を客観的に判断することが、すべての処置の出発点となります。
生存の兆候の評価(手順の遵守) 救急隊は、バイスタンダー(目撃者)の処置を一時中断させ、10秒以内で「反応の確認」「死戦期呼吸を含めた呼吸の観察」「頸動脈拍動の触知」を同時に行います。
状況判断と次のステップ この「確認」の結果、心停止と判断して初めて、異物除去(選択肢4)や高度な気道確保(選択肢3)といった具体的な蘇生処置へと進むルールになっています。
確かにこの症例では窒息が原因である可能性が極めて高いですが、救急隊としての標準的なプロトコル(手順)では、**「評価(呼吸・脈拍確認)」→「判断」→「処置(異物除去)」**という流れを飛ばすことはできません。
まずは「本当に心停止か?」を**1(呼吸・脈拍の確認)**で確定させる。
その直後に、気道に異物が見えているため、速やかに**4(喉頭鏡・マギール鉗子による異物除去)**を行う。
という順序になります。
救急救命士の国家試験等の理論的な組み立てでは、以下の順序が鉄則です。
評価: 意識・呼吸・脈拍の確認(10秒以内)
CPRの継続: 心停止であれば直ちに胸骨圧迫再開
原因へのアプローチ: 直視下での異物除去(マギール鉗子など)
高度な気道管理・静脈路確保など
実際の現場では反射的に器具を手に取りたくなりますが、試験問題やプロトコル上は「まず自分たちの目で評価する」ことが最優先の正解となります。
2 70歳の男性。「夫が咳とともに血を吐いている。」と妻が救急要請した。
救急隊到着時観察所見:意識JCS10。呼吸数24/分。脈拍76/分、整。血圧128/74mmHg。Sp02値92%。病院への搬送中、咳込んで鮮紅色の血痰を喀出している。最近は全身倦怠、微熱および体重減少があったという。
搬送後の対応について正しいのはどれか。1つ選べ。
1 リネン類は浸水後に業者に出す。
2 使用後のガーゼ等は焼却処分する。
3 車内に消毒用エタノールを噴霧する。
4 車内を次亜塩素酸ナトリウム溶液で消毒する。
5 車内をグルコン酸クロルヘキシジンで消毒する。
解答 4
結核菌に対して有効な消毒薬を選択する必要があります。消毒薬には「低水準」「中水準」「高水準」などのレベルがありますが、結核菌を死滅させるには中水準以上の消毒薬が必要です。
次亜塩素酸ナトリウム(選択肢4): 中水準消毒薬であり、結核菌に対して有効です。血液や体液(血痰)が付着した箇所の消毒にも適しているため、この選択肢が正解となります。
1(リネン類の取り扱い): 浸水させるだけでは不十分です。感染症法やガイドラインに基づき、適切な熱水洗浄(80℃・10分間など)や、高圧蒸気滅菌、あるいは次亜塩素酸ナトリウムへの浸漬による消毒が必要です。
2(ガーゼ等の処分): 使用後のガーゼなどは「感染性廃棄物」として、密閉可能な容器に収納して専門業者に委託するのがルールです。医療機関や保健所外で独自に焼却処分することは、現在の廃棄物処理法や環境への配慮から行いません。
3(エタノールの噴霧): 「噴霧(霧吹きで撒くこと)」は禁忌です。消毒薬を噴霧すると、菌やウイルスを舞い上がらせて吸い込むリスクがあるほか、引火の危険や、消毒のムラができるため推奨されません。「清拭(拭き取り)」が基本です。
5(グルコン酸クロルヘキシジン): これは低水準消毒薬(ヒビテンなど)であり、結核菌には無効です。手指消毒などには向いていますが、結核を疑う資器材の消毒には適しません。
結核が疑われる場合の活動上の留意点は以下の通りです。
N95マスクの着用: 空気感染を防ぐため、隊員は必ず着用します。
換気の徹底: 搬送車内の換気扇を回し、窓を開けるなどして空気の滞留を防ぎます。
適切な消毒薬の選択: 結核菌に有効な「消毒用エタノール」や「次亜塩素酸ナトリウム」による拭き取り消毒を行います。
現場での研究や日々の活動、大変お疲れ様です。研究テーマである「BVM換気の早期介入」の知見も、こうした呼吸器疾患が絡む現場判断にきっと活きてくるはずです。
3 救急隊員として次の活動を行った。傷病者は22歳の女性。自転車に乗り交差点を青信号で直進中に信号無視の乗用車に眺ねられた。現場到着時、頭部に挫創はあったが、意識JCS1、呼吸、脈拍、血圧は安定していた。二次救急医療機関を選定し鍛送を開始したが、意識JCS200に低下したため、二次救急医療機関に選定を切り替え搬送した。
翌日ニュースでその傷病者の死亡を知った。その2日後から搬送中のことを思い出して夜もよく眠れず、交通事故傷病者の対応中ドキドキして仕事に身が入らなくなった。それ以降しばらくそのような症状が続いたが、2週間後には落ち着き集中力も回復した。
この救急隊員の症状として最も考えられるのはどれか。1つ選べ。
1 パニック障害
2 急性ストレス障害
3 急性型の心的外傷後ストレス障害
4 慢性型の心的外傷後ストレス障害
5 遅発型の心的外傷後ストレス障害
解答 2
衝撃的な出来事(トラウマとなる出来事)を経験した後に生じる、再体験(フラッシュバック)、回避、過覚醒などの症状について、その持続期間によって診断名が異なります。
急性ストレス障害 (ASD: Acute Stress Disorder)
期間: 心的外傷後、3日から1ヶ月以内に症状が治まるもの。
この症例では、2日後から症状が出現し、2週間後には回復しているため、1ヶ月以内に収束するASDの定義に合致しています。
3・4(心的外傷後ストレス障害 / PTSD)
期間: 症状が1ヶ月以上持続する場合に診断されます。
症状自体はASDと似ていますが、本症例は2週間で回復しているため、PTSDには該当しません。
ちなみに「急性型」は持続が3ヶ月未満、「慢性型」は3ヶ月以上を指します。
5(遅発型PTSD)
出来事から6ヶ月以上経過した後に症状が出現するものを指します。
1(パニック障害)
特定のトラウマ体験とは無関係に、突然のパニック発作(動悸、息苦しさなど)を繰り返す疾患です。今回のケースは明確な外傷体験(搬送事案)が原因であるため、ストレス障害として捉えるのが適切です。
救急活動では、特に若年者の死亡事案や、自身の判断(搬送先の選定など)が結果に影響したと感じる事案において、こうした強いストレス反応が出ることがあります。
再体験: 搬送中のことを思い出す
過覚醒: ドキドキして眠れない
機能障害: 仕事に身が入らない
これらは決して「心の弱さ」ではなく、衝撃的な事案に遭遇した際の**「正常な反応」**です。通常、この隊員のように1〜2週間で自然に回復することが多いですが、1ヶ月を超えて続く場合は専門的なサポートが必要になるサインとなります。
研究や現場活動で多忙な日々かと存じますが、同僚とのデブリーフィングやセルフケアを大切になさってください。
4 20代の男性。乗用車運転中に停車していた大型トラックに後方から追突して受傷し、通行人が救急要請した。
救急隊到着時観察所見:呼びかけに反応するが不穏である。呼吸は速くゴロゴロ音を聴取する。撓骨動脈は触れるが頻脈である。顔面に図(別冊No.5)のような損傷を認める。
直ちに行う対応はどれか。2つ選べ。
1 頭部挙上
2 頸椎保護
3 補助換気
4 気道の確保
5 眼瞼結膜の観察
解答 2と4
5 18歳の男性。夜食を食べている際、急に意識を失ったため、家族が救急要請した。
救急隊到着時観察所見:意識清明。呼吸数16/分。脈拍72/分、整。Sp02値98%。特に症状を訴えない。搬送中の心電図モニター波形(別冊No.6)を示す。
この病態の特徴はどれか。1つ選べ。
1 女性に多い。
2 家族歴は重要でない。
3 突然死のリスクは低い。
4 薬剤は原因とならない。
5 QT延長症候群により心室頻拍を起こす。
解答 5
6 50歳の男性。亜硝酸塩を含む肥料を生産する工場で作業中、呼吸困難が出現したため、同僚が救急要請した。
救急隊到着時観察所見:意識清明。呼吸数32/分。脈拍112/分、整。Sp02値92%。日唇や爪先にチアノーゼを認める。工場の産業医からメトヘモグロビン血症の可能性があるといわれた。
正しいのはどれか。1つ選べ。
1 酸素投与は必要ない。
2 肺の傷害が起きている。
3 他の作業員に影響はない。
4 Sp02値は酸素飽和度を反映しない。
5 直ちに二次救急医療機関へ搬送する。
解答 4
この問題は、特殊な中毒症態であるメトヘモグロビン血症における測定機器の限界と、病態生理を問う良問です。
メトヘモグロビン(Met-Hb)血症では、パルスオキシメータ($SpO_2$)が正確な数値を表示できなくなるのが最大の特徴です。
測定の原理的限界:
通常のパルスオキシメータは、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの比率を2種類の波長の光で測定しています。しかし、メトヘモグロビンが存在すると光の吸収特性が変わり、実際の酸素飽和度に関わらず、数値が**85%付近に固定(プラトー化)されたり、異常値を示したりします。 そのため、チアノーゼが強く、明らかに酸素不足に見えるのに$SpO_2$が一定の数値から動かない、といった「ガップ(解離)」**が生じます。
臨床的なチアノーゼ:
メトヘモグロビンが1.5g/dL(全ヘモグロビンの約10%)を超えると、血液がチョコレート色(暗褐色)になり、皮膚や粘膜に強いチアノーゼが現れます。
1(酸素投与): メトヘモグロビン自体は酸素を運べないため、残っている正常なヘモグロビンの酸素飽和度を最大限に高める必要があります。高濃度酸素投与は必須です。
2(肺の傷害): この疾患の主病態は「血液(ヘモグロビン)の異常」による運搬障害です。肺自体が直接破壊されているわけではありません。
3(他の作業員への影響): 「亜硝酸塩を含む肥料を生産する工場」という環境要因があるため、他の作業員も同様の曝露を受けている可能性が極めて高く、集団災害(C災害)としての警戒が必要です。
5(搬送先の選定): メトヘモグロビン血症の特効薬である**メチレンブルー(メチルチオニニウム)を常備している、あるいは毒劇物中毒に対応可能な三次救急医療機関(救命救急センター)**へ速やかに搬送すべき事案です。
現場で「チアノーゼがあるのに$SpO_2$が90%前後で安定している」「高濃度酸素を吸わせても$SpO_2$が上がらない」という状況に遭遇し、かつ化学物質の曝露歴がある場合は、この病態を強く疑うことが重要です。
7 80代の女性。心疾患で治療中である。呼吸困難を訴えたため家族が救急要請した。
救急隊到着時観察所見:意識JCS3。呼吸数32/分。脈拍84/分、整。血圧150/100mmHg。体温35.5℃。Sp02値86%(室内気)。両下肢に浮腫を認める。リザーバ付きフェイスマスクで酸素投与(10L/分)を開始した。救急隊到着時の心電図モニター波形(別冊No.7)を示す。
この傷病者について正しいのはどれか。1つ選べ。
1 洞調律である。
2 除細動が必要である。
3 気道確保が必要である。
4 致死性不整脈に移行しやすい。
5 左鎖骨下胸壁に膨らみを認める。
解答 5
8 60歳の男性。ショッピングモール内で突然倒れたため、目撃者が救急要請した。
救急隊到着時、バイスタンダーCPRあり、AEDが装着され、電気ショックは3回実施済みであった。救急隊接触時CPAで心電図波形は心室細動、除細動を行うと脈拍を触知するようになった。呼吸数6/分で浅い。
この傷病者に対する処置で正しいのはどれか。2つ選べ。
1 回復体位で搬送する。
2 気管挿管の指示要請を行う。
3 除細動器のパッドを貼付したまま搬送する。
4 バッグ・バルブ・マスクで補助換気を行う。
5 アドレナリン投与のための静脈路確保の指示要請を行う。
解答 3と4
救急隊の接触後に除細動を行い、脈拍を触知した(ROSCした)後の対応がポイントです。
3(除細動器のパッドを貼付したまま搬送する) ROSC(自己心拍再開)した直後は、再び心室細動(VF)などの致死的不整脈に移行する(再再発する)リスクが非常に高い状態です。そのため、いつでもすぐに再除細動ができるよう、パッドは剥がさずにそのまま貼付して搬送するのが鉄則です。
4(バッグ・バルブ・マスクで補助換気を行う) ROSC後の観察所見で「呼吸数6/分で浅い」とあります。これは中枢性低換気の状態であり、十分な酸素化を維持できません。自己心拍が戻っても呼吸が不十分な場合は、BVM(バッグ・バルブ・マスク)を用いて、自発呼吸に合わせた補助換気、あるいは制御換気を行う必要があります。
1(回復体位で搬送する) 回復体位は、意識はないが「十分な自発呼吸」がある場合に適応となります。本症例は呼吸が不十分(6回/分)であり、BVMによる換気が必要なため、仰臥位で適切な気道管理を行いながら搬送します。
2(気管挿管の指示要請を行う) 救急救命士の特定行為としての気管挿管は、原則として**「心肺機能停止状態」**の傷病者が対象です。自己心拍が再開している本症例では、通常の特定行為としての気管挿管の適応からは外れます。
5(アドレナリン投与のための静脈路確保の指示要請を行う) アドレナリン(エピネフリン)の投与も、**「心肺機能停止状態」**における蘇生薬として使用されます。ROSC後、循環動態が不安定な場合に医師の指示下で薬剤を使用することはありますが、標準的なプロトコルにおいて「CPAに対するアドレナリン投与」の指示要請は、心拍がある状態では行いません。
ROSC後の管理(心停止後ケア)において、**「呼吸のサポート(酸素化・換気の維持)」と「再心停止への備え(モニター・パッドの継続)」**は、病院到着までの予後を左右する極めて重要な活動です。
ユーザー様が研究されている「BVM換気の早期介入」という視点からも、ROSC後の低換気に対する迅速な補助換気は、脳への酸素供給を維持するために不可欠なプロセスと言えますね。
9 34歳の男性。ハイキング中にハチに刺され、同部の腫脹と激痛を来したため友人が救急要請した。
救急隊到着時観察所見:意識JCS10。呼吸数28/分。脈拍124/分、整。血圧70mmHg(触診)。Sp02値88%(室内気)。皮膚は紅潮し、高度の気道狭窄音を聴取する。自己注射用アドレナリンを所持している。
この傷病者にまず行うべき対応はどれか。1つ選べ。
1 半坐位
2 エアウエイ挿入
3 自己注射用アドレナリン投与
4 バッグ・バルブ・マスク換気
5 静脈路確保および輸液の指示要請
解答 3
この傷病者は、ハチに刺された後に「意識障害(JCS10)」「頻呼吸(28/分)」「低血圧(76mmHg)」「気道狭窄音(喘鳴)」を呈しており、アナフィラキシーによる呼吸不全およびショック状態であると判断できます。
アドレナリンが最優先である理由:
アナフィラキシーの根本的な治療薬はアドレナリンです。アドレナリンには以下の作用があり、この傷病者が直面している危機的な状況を同時に改善させます。
$\alpha_1$作用: 血管を収縮させ、低血圧(ショック)を改善する。
$\beta_1$作用: 心収縮力を高める。
$\beta_2$作用: 気管支を拡張させ、気道狭窄を改善し、粘膜の浮腫を抑制する。
自己注射用アドレナリン(エピペン)を所持しており、これほど重篤な症状が出ている場合、現場で**「まず行うべき」**最も有効な処置は投与です。
1(半坐位):
ショック状態(血圧低下)にある傷病者を上半身を起こした姿勢(半坐位)にすると、脳への血流がさらに低下し、心停止を招く恐れがあります。アナフィラキシーショックでは、通常**「仰臥位(+下肢挙上)」**が推奨されます。※ただし、嘔吐がある場合や呼吸苦が極めて強い場合は例外もありますが、「まず行う対応」としては不適切です。
2・4(気道管理):
高度な気道狭窄や低酸素($SpO_2$ 88%)があるため、BVM換気やエアウェイが必要に見えますが、アナフィラキシーにおける気道狭窄は**「喉頭浮腫」**によるものが多く、物理的に広げるよりもアドレナリンで浮腫を引かせることが先決です。
5(静脈路確保・輸液):
循環血液量減少性ショックに近い機序もあるため輸液も重要ですが、アドレナリン投与に勝る優先順位ではありません。また、自己注射用アドレナリンは救命士の特定行為(医師の指示)を待たずに、傷病者自身の持ち物として速やかに使用を介助すべき場面です。
アナフィラキシーの現場では、**「迷ったら打て」**と言われるほどアドレナリンの早期投与が強調されます。救急救命士としても、エピペンの使用介助は非常に重要な役割となります。
10 75歳の女性。家族から意識がないとの通報を受け救急隊が到着した。
救急隊到着時観察所見:呼びかけに反応がなく、呼吸はないが、頸動脈は触知した。
この傷病者の処置に必要な資器材はどれか。1つ選べ。
1 AED
2 気管内チューブ
3 自動式心マッサージ器
4 リザーバ付き酸素マスク
5 バッグ・バルブ・マスク
解答 5
救急活動の優先順位である ABC(気道・呼吸・循環) に当てはめて考えると、正解が導き出せます。
病態の判断(呼吸停止) 観察所見で「呼びかけに反応がなく(意識障害)」「呼吸はない」とありますが、「頸動脈は触知」しています。つまり、心臓は動いているが呼吸だけが止まっている**「呼吸停止(Respiratory Arrest)」**の状態です。
優先される処置:人工呼吸 呼吸がない場合、血液中の酸素が急速に失われ、そのままでは数分以内に心停止(循環停止)に陥ります。これを防ぐためには、直ちに人工呼吸を行い、酸素を強制的に送り込む必要があります。
資器材の選択 救急現場において、非侵襲的かつ迅速に高濃度の酸素を用いた人工呼吸を行える標準的な資器材は、**バッグ・バルブ・マスク(BVM)**です。
1・3(AED・自動式心マッサージ器): これらは「心停止(脈拍なし)」の場合に使用する資器材です。本症例は脈拍があるため、使用しません。
2(気管内チューブ): 高度な気道確保が必要になる可能性はありますが、まずは低侵襲なBVMでの換気を確立するのが先決です。また、救命士の特定行為としての気管挿管は「心肺機能停止状態」が対象です。
4(リザーバ付き酸素マスク): これは「自発呼吸がある」傷病者に高濃度酸素を吸入させるためのものです。本症例のように呼吸が止まっている場合は、マスクを当てるだけでは酸素が肺に入らないため、BVMによる「陽圧換気」が必要です。
呼吸停止から心停止へ移行するのを防ぐ「予防的換気」。
正確な評価(脈の有無)に基づいた、迷いのないBVM操作。
これらが傷病者の予後を大きく左右します。国家試験対策としても、この「脈はあるが呼吸はない」パターンは頻出ですので、確実に押さえておきましょう。
11 あなたは通信指令員である。路上で老人が倒れていて声をかけても全く反応がないとの携帯電話からの救急要請が若い女性から入った。周囲には全く人影がないという。あなたは次のように通話した。
「すでに救急車の手配は行いました。救命処置をしていただきたいので携帯電話をスピーカーモードにしてください。(A胸と腹の動きを見て呼吸しているか確認してください。)(B呼吸しているかわからなければすぐに胸骨圧迫をしてください。)(C人工呼吸は行わなくても構いません。胸骨圧迫のみ続けてください。)(D胸骨圧迫は1秒間に2回のテンポで行ってください。)(E胸骨圧迫は2分毎に中断して声をかけて反応があるか確認してください。)まもなく救急隊が着きます。」
口頭指導として適切でないのはどれか。1つ選べ。
1 A
2 B
3 C
4 D
5 E
解答 5
口頭指導(テレフォンCPR)において、**E「胸骨圧迫を2分毎に中断して確認すること」**は、現在のガイドラインでは不適切とされています。
中断の最小化(ハンズオフタイムの短縮) 胸骨圧迫を中断すると、脳や心臓への血流(灌流圧)が急激に低下します。一度低下した圧を再び上げるには数回の圧迫が必要になるため、救急隊が現場に到着して交代するまで、胸骨圧迫は可能な限り休まずに続けることが推奨されています。
バイスタンダーへの指導 一般市民(特に周囲に誰もいない状況の女性)に対して、2分毎に中断して評価を求めることは、蘇生効率を下げるだけでなく、通報者を混乱させ、疲労を早める原因にもなります。
1(A:呼吸の確認) 「反応がない」という情報に対し、まず呼吸を確認させるのは初期評価の基本です。
2(B:判断に迷ったら開始) 一般市民にとって、死戦期呼吸と正常な呼吸を判断するのは困難です。「呼吸しているかわからない(迷う)」場合は、心停止とみなして直ちに胸骨圧迫を開始させるよう指導します。
3(C:ハンズオンリーCPR) 一般市民、特に感染症リスクや技術的ハードルがある場合、口頭指導では「胸骨圧迫のみ(ハンズオンリーCPR)」を推奨します。これにより、胸骨圧迫の開始までの時間を短縮できます。
4(D:テンポの指導) 胸骨圧迫の適切なテンポは「100〜120回/分」です。「1秒間に2回」という表現は、1分間で120回に相当するため、適切な口頭指導の表現として認められています。
現場に到着した際、通報者が適切な口頭指導によって絶え間なく胸骨圧迫を継続してくれていたかどうかは、その後のROSC(自己心拍再開)率に直結します。
12 80歳の男性。呼吸困難のため妻が救急要請した。
救急隊到着時観察所見:意識JCS300、呼吸数36/分。脈拍100/分、整。血圧168/92mmHg。Sp02値90%。努力呼吸が著明なため酸素投与を行った。
傷病者は肺癌と骨転移のため入院して緩和治療を受けていたが「最期は家で過ごしたい。」と強く希望し、2か月前に退院し、在宅医療を受けている。家で看取るつもりだったが、あまりにも息苦しそうだったので救急要請したという。本人との二人暮らしとのことである。
救急隊が優先して実施すべき対応はどれか。1つ選べ。
1 妻以外の家族を探す。
2 MC医師に助言要請を行う。
3 主治医に連絡し判断を問う。
4 ケアマネジャーに連絡する。
5 救命救急センターに搬送する。
解答 3
在宅での看取りを前提としている傷病者において、救急要請がなされた場合の対応は、通常の救急活動とは異なる視点が必要になります。
主治医との連携が最優先: この傷病者は「最期は家で過ごしたい」という強い希望を持って退院しており、在宅医(主治医)による管理下にあると考えられます。救急要請のきっかけは「苦痛(呼吸困難)の除去」ですが、救命センターへの搬送や侵襲的な蘇生処置が本人の意向に沿わない可能性があるため、病状やこれまでの合意内容(DNARの有無など)を最も把握している主治医に連絡し、指示や判断を仰ぐのが最も適切です。
1(妻以外の家族を探す): キーパーソンである妻が現場におり、本人の希望も明確なため、他の親族を捜索する優先順位は低いです。
2(MC医師に助言要請を行う): MC(メディカルコントロール)医師はプロトコル上の医学的助言を行いますが、個別の患者の終末期における「人生の選択」については、主治医以上の情報を持っていません。
4(ケアマネジャーに連絡する): ケアマネジャーは生活支援の調整役であり、今現在の急性増悪(呼吸困難)に対する医学的な搬送・処置の判断を行う立場にはありません。
5(救命救急センターに搬送する): 「看取り」を希望している患者を、本人の意向を確認せずに高度救急医療機関へ搬送することは、結果として過剰な延命治療に繋がり、本人の望まない最期(QOD:Quality of Death)を招く恐れがあります。
静岡市でも在宅医療の普及に伴い、こうした「看取り期における救急要請」への対応は重要な課題となっているかと思います。
家族の心情への配慮: 「家で看取るつもりだったが、苦しそうな姿を見て不安になった」という家族の揺らぎに寄り添うことが求められます。
主治医へのホットライン: 在宅医療を受けている場合は、救急隊から直接主治医に連絡し、「今この場でどのような処置・対応をすべきか」を相談することが、本人の尊厳を守ることにつながります。
13 30歳の女性。3日前にアセトアミノフェン含有の解熱鎮痛剤を大量服用した。その後腹痛と悪心とを発症し、症状が増悪したため救急要請した。
救急隊到着時観察所見:意識清明。呼吸数24/分。脈拍100/分、整。血圧110/68mmHg。体温36.3℃。Sp02値99%。腹膜刺激症状はない。
この傷病で障害される可能性の高い臓器はどれか。1つ選べ。
1 脳
2 肺
3 心臓
4 肝臓
5 腎臓
解答 4
肝臓:正解 アセトアミノフェンの代謝産物(NAPQI)は、過量摂取によって体内の解毒能力(グルタチオン)を超えると、肝細胞を直接破壊します。服用後24〜72時間(3日目)は、初期の悪心・嘔吐が一旦落ち着いた後に肝不全症状が顕著になる時期であり、本症例の経過と一致します。
腎臓:誤り 重症例では二次的に急性腎不全を併発することもありますが、アセトアミノフェン中毒の主戦場はあくまで肝臓です。腎障害が主となるのは、アスピリンやNSAIDs(ロキソプロフェン等)の過量服用です。
心臓:誤り アセトアミノフェン自体に強い心毒性はありません。循環動態への直接的な影響は少なく、本症例でも血圧や脈拍は比較的安定しています。
肺:誤り 呼吸抑制や肺水腫を直接引き起こす薬剤ではありません。呼吸数が24/分とやや速いのは、腹痛による苦痛や、代謝性アシドーシス(肝不全進行時)を代償しようとしている可能性が考えられます。
服用から「3日後」という設定は、まさに肝壊死がピークに達する危険なタイミングです。現場では意識がはっきりしていても、急速に悪化する恐れがあるため迅速な搬送が求められます。
某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。