2026年1月13日火曜日

第47回D問題 問8 60歳の男性。ショッピングモール内で突然倒れたため、目撃者が救急要請した。  救急隊到着時、バイスタンダーCPRあり、AEDが装着され、電気ショックは3回実施済みであった。救急隊接触時CPAで心電図波形は心室細動、除細動を行うと脈拍を触知するようになった。呼吸数6/分で浅い。  この傷病者に対する処置で正しいのはどれか。

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8 60歳の男性。ショッピングモール内で突然倒れたため、目撃者が救急要請した。

 救急隊到着時、バイスタンダーCPRあり、AEDが装着され、電気ショックは3回実施済みであった。救急隊接触時CPAで心電図波形は心室細動、除細動を行うと脈拍を触知するようになった。呼吸数6/分で浅い。

 この傷病者に対する処置で正しいのはどれか。2つ選べ。

1 回復体位で搬送する。

2 気管挿管の指示要請を行う。

3 除細動器のパッドを貼付したまま搬送する。

4 バッグ・バルブ・マスクで補助換気を行う。

5 アドレナリン投与のための静脈路確保の指示要請を行う。


解答 3と4


正解:3 と 4

解説

救急隊の接触後に除細動を行い、脈拍を触知した(ROSCした)後の対応がポイントです。

  • 3(除細動器のパッドを貼付したまま搬送する) ROSC(自己心拍再開)した直後は、再び心室細動(VF)などの致死的不整脈に移行する(再再発する)リスクが非常に高い状態です。そのため、いつでもすぐに再除細動ができるよう、パッドは剥がさずにそのまま貼付して搬送するのが鉄則です。

  • 4(バッグ・バルブ・マスクで補助換気を行う) ROSC後の観察所見で「呼吸数6/分で浅い」とあります。これは中枢性低換気の状態であり、十分な酸素化を維持できません。自己心拍が戻っても呼吸が不十分な場合は、BVM(バッグ・バルブ・マスク)を用いて、自発呼吸に合わせた補助換気、あるいは制御換気を行う必要があります。


他の選択肢が誤りである理由

  • 1(回復体位で搬送する) 回復体位は、意識はないが「十分な自発呼吸」がある場合に適応となります。本症例は呼吸が不十分(6回/分)であり、BVMによる換気が必要なため、仰臥位で適切な気道管理を行いながら搬送します。

  • 2(気管挿管の指示要請を行う) 救急救命士の特定行為としての気管挿管は、原則として**「心肺機能停止状態」**の傷病者が対象です。自己心拍が再開している本症例では、通常の特定行為としての気管挿管の適応からは外れます。

  • 5(アドレナリン投与のための静脈路確保の指示要請を行う) アドレナリン(エピネフリン)の投与も、**「心肺機能停止状態」**における蘇生薬として使用されます。ROSC後、循環動態が不安定な場合に医師の指示下で薬剤を使用することはありますが、標準的なプロトコルにおいて「CPAに対するアドレナリン投与」の指示要請は、心拍がある状態では行いません。


救急現場での視点

ROSC後の管理(心停止後ケア)において、**「呼吸のサポート(酸素化・換気の維持)」「再心停止への備え(モニター・パッドの継続)」**は、病院到着までの予後を左右する極めて重要な活動です。

ユーザー様が研究されている「BVM換気の早期介入」という視点からも、ROSC後の低換気に対する迅速な補助換気は、脳への酸素供給を維持するために不可欠なプロセスと言えますね。

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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。