2026年1月13日火曜日

第47回D問題 問9 34歳の男性。ハイキング中にハチに刺され、同部の腫脹と激痛を来したため友人が救急要請した。  救急隊到着時観察所見:意識JCS10。呼吸数28/分。脈拍124/分、整。血圧70mmHg(触診)。Sp02値88%(室内気)。皮膚は紅潮し、高度の気道狭窄音を聴取する。自己注射用アドレナリンを所持している。  この傷病者にまず行うべき対応はどれか。

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9 34歳の男性。ハイキング中にハチに刺され、同部の腫脹と激痛を来したため友人が救急要請した。

 救急隊到着時観察所見:意識JCS10。呼吸数28/分。脈拍124/分、整。血圧70mmHg(触診)。Sp02値88%(室内気)。皮膚は紅潮し、高度の気道狭窄音を聴取する。自己注射用アドレナリンを所持している。

 この傷病者にまず行うべき対応はどれか。1つ選べ。

1 半坐位

2 エアウエイ挿入

3 自己注射用アドレナリン投与

4 バッグ・バルブ・マスク換気

5 静脈路確保および輸液の指示要請


解答 3


正解:3(自己注射用アドレナリン投与)

解説

この傷病者は、ハチに刺された後に「意識障害(JCS10)」「頻呼吸(28/分)」「低血圧(76mmHg)」「気道狭窄音(喘鳴)」を呈しており、アナフィラキシーによる呼吸不全およびショック状態であると判断できます。

  • アドレナリンが最優先である理由:

    アナフィラキシーの根本的な治療薬はアドレナリンです。アドレナリンには以下の作用があり、この傷病者が直面している危機的な状況を同時に改善させます。

    • $\alpha_1$作用: 血管を収縮させ、低血圧(ショック)を改善する。

    • $\beta_1$作用: 心収縮力を高める。

    • $\beta_2$作用: 気管支を拡張させ、気道狭窄を改善し、粘膜の浮腫を抑制する。

    自己注射用アドレナリン(エピペン)を所持しており、これほど重篤な症状が出ている場合、現場で**「まず行うべき」**最も有効な処置は投与です。


他の選択肢が誤りである理由

  • 1(半坐位):

    ショック状態(血圧低下)にある傷病者を上半身を起こした姿勢(半坐位)にすると、脳への血流がさらに低下し、心停止を招く恐れがあります。アナフィラキシーショックでは、通常**「仰臥位(+下肢挙上)」**が推奨されます。※ただし、嘔吐がある場合や呼吸苦が極めて強い場合は例外もありますが、「まず行う対応」としては不適切です。

  • 2・4(気道管理):

    高度な気道狭窄や低酸素($SpO_2$ 88%)があるため、BVM換気やエアウェイが必要に見えますが、アナフィラキシーにおける気道狭窄は**「喉頭浮腫」**によるものが多く、物理的に広げるよりもアドレナリンで浮腫を引かせることが先決です。

  • 5(静脈路確保・輸液):

    循環血液量減少性ショックに近い機序もあるため輸液も重要ですが、アドレナリン投与に勝る優先順位ではありません。また、自己注射用アドレナリンは救命士の特定行為(医師の指示)を待たずに、傷病者自身の持ち物として速やかに使用を介助すべき場面です。


実務・国試のポイント

アナフィラキシーの現場では、**「迷ったら打て」**と言われるほどアドレナリンの早期投与が強調されます。救急救命士としても、エピペンの使用介助は非常に重要な役割となります。


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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。