2026年1月13日火曜日

第47回D問題 問10 75歳の女性。家族から意識がないとの通報を受け救急隊が到着した。  救急隊到着時観察所見:呼びかけに反応がなく、呼吸はないが、頸動脈は触知した。  この傷病者の処置に必要な資器材はどれか。

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10 75歳の女性。家族から意識がないとの通報を受け救急隊が到着した。

 救急隊到着時観察所見:呼びかけに反応がなく、呼吸はないが、頸動脈は触知した。

 この傷病者の処置に必要な資器材はどれか。1つ選べ。

1 AED

2 気管内チューブ

3 自動式心マッサージ器

4 リザーバ付き酸素マスク

5 バッグ・バルブ・マスク


解答 5


正解:5(バッグ・バルブ・マスク)

解説

救急活動の優先順位である ABC(気道・呼吸・循環) に当てはめて考えると、正解が導き出せます。

  1. 病態の判断(呼吸停止) 観察所見で「呼びかけに反応がなく(意識障害)」「呼吸はない」とありますが、「頸動脈は触知」しています。つまり、心臓は動いているが呼吸だけが止まっている**「呼吸停止(Respiratory Arrest)」**の状態です。

  2. 優先される処置:人工呼吸 呼吸がない場合、血液中の酸素が急速に失われ、そのままでは数分以内に心停止(循環停止)に陥ります。これを防ぐためには、直ちに人工呼吸を行い、酸素を強制的に送り込む必要があります。

  3. 資器材の選択 救急現場において、非侵襲的かつ迅速に高濃度の酸素を用いた人工呼吸を行える標準的な資器材は、**バッグ・バルブ・マスク(BVM)**です。


他の選択肢が誤りである理由

  • 1・3(AED・自動式心マッサージ器): これらは「心停止(脈拍なし)」の場合に使用する資器材です。本症例は脈拍があるため、使用しません。

  • 2(気管内チューブ): 高度な気道確保が必要になる可能性はありますが、まずは低侵襲なBVMでの換気を確立するのが先決です。また、救命士の特定行為としての気管挿管は「心肺機能停止状態」が対象です。

  • 4(リザーバ付き酸素マスク): これは「自発呼吸がある」傷病者に高濃度酸素を吸入させるためのものです。本症例のように呼吸が止まっている場合は、マスクを当てるだけでは酸素が肺に入らないため、BVMによる「陽圧換気」が必要です。


救急現場でのポイント

  • 呼吸停止から心停止へ移行するのを防ぐ「予防的換気」。

  • 正確な評価(脈の有無)に基づいた、迷いのないBVM操作。

これらが傷病者の予後を大きく左右します。国家試験対策としても、この「脈はあるが呼吸はない」パターンは頻出ですので、確実に押さえておきましょう。

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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。