52 グラスゴー・ピッツバーグ脳機能カテゴリー〈CPC〉で脳死が含まれるカテゴリーはどれか。1つ選べ。
1 CPC1
2 CPC2
3 CPC3
4 CPC4
5 CPC5
解答 5 11版P.477
【救命士王による回答】
社会復帰=CPC1、CPC2と定義される。
統計や論文等でも使用される。
【AIによる回答】
第52問「グラスゴー・ピッツバーグ脳機能カテゴリー(CPC)」について、救急救命士が心肺蘇生後の予後判定を理解する上で重要な指標を解説します。
簡易解説
正解は5です。
CPC(Cerebral Performance Category)は、心停止から蘇生した傷病者の脳機能予後を1〜5の5段階で評価する指標です。CPC1(良好)から数字が大きくなるほど重症度が増し、CPC5は「脳死または死亡」を定義するカテゴリーとなります。心肺蘇生後の臨床研究や統計(ウツタイン様式など)において、社会復帰率を測る非常に重要な分類法です。
詳細解説
CPC(脳機能カテゴリー)は、ピッツバーグ蘇生研究センターによって提唱された評価法で、主に心停止後の神経学的予後を客観的に数値化するために用いられます。救急救命士は、自分が搬送した傷病者がその後どのような経過を辿ったのかを知る際、この指標を目にすることになります。
1. CPC各カテゴリーの詳細
CPCは単なる意識レベルの評価ではなく、「日常生活の自立度」に主眼が置かれています。
CPC 1:良好な脳機能(Good Cerebral Performance)
意識が清明であり、発症前と同じような生活が送れる状態です。軽い神経学的欠落(軽度の麻痺など)があっても、通常の就労や日常生活に支障がない場合を含みます。
CPC 2:中等度の脳機能障害(Moderate Cerebral Disability)
意識はあり、身の回りのことは自立していますが、記憶障害や性格変化、不全麻痺などのために、保護的な環境下での就労(軽作業など)に限定される状態です。
CPC 3:重度の脳機能障害(Severe Cerebral Disability)
意識はありますが、日常生活の全般に介助を必要とする状態です。いわゆる「寝たきり」の状態に近いですが、意思疎通が限定的に可能な場合を指します。
CPC 4:植物状態(Coma or Vegetative State)
昏睡状態、あるいは除脳硬直などの異常姿勢が見られる状態です。環境に対する意味のある反応がなく、覚醒(開眼)はしていても認知機能がない状態(遷延性意識障害)を含みます。
CPC 5:脳死または死亡(Brain Death or Death)
本問の正解です。臨床的な死、あるいは法的な脳死と判定された状態を指します。
2. 救急救命士としての視点と「社会復帰」
救急医療の究極の目的は、単に心拍を再開させる(ROSC)ことではなく、傷病者を「CPC 1または2」の状態で社会復帰させることにあります。
統計学的に、目撃のある心室細動(VF)に対して迅速な除細動が行われた場合、CPC 1〜2の割合が高くなることが知られています。逆に、搬送後にROSCしてもCPC 3〜4となってしまうケースは、現場での蘇生処置の遅れや、搬送中の低酸素状態の継続が原因となることがあります。
3. ウツタイン様式との関連
救急救命士が記録する「ウツタイン様式(心停止傷病者の全国記録)」では、1ヶ月後の生存率とともに、このCPCを用いた機能予後が記録されます。救命士が自分の活動を振り返る際、「1ヶ月後にCPC1で退院した」というデータは、現場での判断や処置が最適であったことを示す最も価値のあるフィードバックとなります。
このように、CPCは医療機関内だけの指標ではなく、プレホスピタルケアの質を客観的に評価するための共通言語として、救命士にとっても欠かせない知識です。
