2 70歳の男性。「夫が咳とともに血を吐いている。」と妻が救急要請した。
救急隊到着時観察所見:意識JCS10。呼吸数24/分。脈拍76/分、整。血圧128/74mmHg。Sp02値92%。病院への搬送中、咳込んで鮮紅色の血痰を喀出している。最近は全身倦怠、微熱および体重減少があったという。
搬送後の対応について正しいのはどれか。1つ選べ。
1 リネン類は浸水後に業者に出す。
2 使用後のガーゼ等は焼却処分する。
3 車内に消毒用エタノールを噴霧する。
4 車内を次亜塩素酸ナトリウム溶液で消毒する。
5 車内をグルコン酸クロルヘキシジンで消毒する。
解答 4
正解:4(車内を次亜塩素酸ナトリウム溶液で消毒する)
解説
結核菌に対して有効な消毒薬を選択する必要があります。消毒薬には「低水準」「中水準」「高水準」などのレベルがありますが、結核菌を死滅させるには中水準以上の消毒薬が必要です。
次亜塩素酸ナトリウム(選択肢4): 中水準消毒薬であり、結核菌に対して有効です。血液や体液(血痰)が付着した箇所の消毒にも適しているため、この選択肢が正解となります。
他の選択肢が誤りである理由
1(リネン類の取り扱い): 浸水させるだけでは不十分です。感染症法やガイドラインに基づき、適切な熱水洗浄(80℃・10分間など)や、高圧蒸気滅菌、あるいは次亜塩素酸ナトリウムへの浸漬による消毒が必要です。
2(ガーゼ等の処分): 使用後のガーゼなどは「感染性廃棄物」として、密閉可能な容器に収納して専門業者に委託するのがルールです。医療機関や保健所外で独自に焼却処分することは、現在の廃棄物処理法や環境への配慮から行いません。
3(エタノールの噴霧): 「噴霧(霧吹きで撒くこと)」は禁忌です。消毒薬を噴霧すると、菌やウイルスを舞い上がらせて吸い込むリスクがあるほか、引火の危険や、消毒のムラができるため推奨されません。「清拭(拭き取り)」が基本です。
5(グルコン酸クロルヘキシジン): これは低水準消毒薬(ヒビテンなど)であり、結核菌には無効です。手指消毒などには向いていますが、結核を疑う資器材の消毒には適しません。
救急隊としてのポイント
結核が疑われる場合の活動上の留意点は以下の通りです。
N95マスクの着用: 空気感染を防ぐため、隊員は必ず着用します。
換気の徹底: 搬送車内の換気扇を回し、窓を開けるなどして空気の滞留を防ぎます。
適切な消毒薬の選択: 結核菌に有効な「消毒用エタノール」や「次亜塩素酸ナトリウム」による拭き取り消毒を行います。
現場での研究や日々の活動、大変お疲れ様です。研究テーマである「BVM換気の早期介入」の知見も、こうした呼吸器疾患が絡む現場判断にきっと活きてくるはずです。
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