3 救急隊員として次の活動を行った。傷病者は22歳の女性。自転車に乗り交差点を青信号で直進中に信号無視の乗用車に眺ねられた。現場到着時、頭部に挫創はあったが、意識JCS1、呼吸、脈拍、血圧は安定していた。二次救急医療機関を選定し鍛送を開始したが、意識JCS200に低下したため、二次救急医療機関に選定を切り替え搬送した。
翌日ニュースでその傷病者の死亡を知った。その2日後から搬送中のことを思い出して夜もよく眠れず、交通事故傷病者の対応中ドキドキして仕事に身が入らなくなった。それ以降しばらくそのような症状が続いたが、2週間後には落ち着き集中力も回復した。
この救急隊員の症状として最も考えられるのはどれか。1つ選べ。
1 パニック障害
2 急性ストレス障害
3 急性型の心的外傷後ストレス障害
4 慢性型の心的外傷後ストレス障害
5 遅発型の心的外傷後ストレス障害
解答 2
正解:2 急性ストレス障害(ASD)
解説
衝撃的な出来事(トラウマとなる出来事)を経験した後に生じる、再体験(フラッシュバック)、回避、過覚醒などの症状について、その持続期間によって診断名が異なります。
急性ストレス障害 (ASD: Acute Stress Disorder)
期間: 心的外傷後、3日から1ヶ月以内に症状が治まるもの。
この症例では、2日後から症状が出現し、2週間後には回復しているため、1ヶ月以内に収束するASDの定義に合致しています。
他の選択肢が誤りである理由
3・4(心的外傷後ストレス障害 / PTSD)
期間: 症状が1ヶ月以上持続する場合に診断されます。
症状自体はASDと似ていますが、本症例は2週間で回復しているため、PTSDには該当しません。
ちなみに「急性型」は持続が3ヶ月未満、「慢性型」は3ヶ月以上を指します。
5(遅発型PTSD)
出来事から6ヶ月以上経過した後に症状が出現するものを指します。
1(パニック障害)
特定のトラウマ体験とは無関係に、突然のパニック発作(動悸、息苦しさなど)を繰り返す疾患です。今回のケースは明確な外傷体験(搬送事案)が原因であるため、ストレス障害として捉えるのが適切です。
救急隊員としてのメンタルヘルス
救急活動では、特に若年者の死亡事案や、自身の判断(搬送先の選定など)が結果に影響したと感じる事案において、こうした強いストレス反応が出ることがあります。
再体験: 搬送中のことを思い出す
過覚醒: ドキドキして眠れない
機能障害: 仕事に身が入らない
これらは決して「心の弱さ」ではなく、衝撃的な事案に遭遇した際の**「正常な反応」**です。通常、この隊員のように1〜2週間で自然に回復することが多いですが、1ヶ月を超えて続く場合は専門的なサポートが必要になるサインとなります。
研究や現場活動で多忙な日々かと存じますが、同僚とのデブリーフィングやセルフケアを大切になさってください。
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