2025年12月24日水曜日

第48回A問題 57問「痙攣重積状態の定義」について

 第48回救急救命士国家試験A問題はこちら

57 痙攣重積状態とみなしてよい症候はどれか。1つ選べ。

1 尿失禁している。

2 呼吸をしていない。

3 チアノーゼがある。

4 5分間継続している。

5 呼びかけに反応がない。


解答 4  11版P.496



【救命士王による回答】


 小児の熱性痙攣であれば比較的軽症思われてしまうので、ヤバイスイッチ入った痙攣であれば「痙攣重責発作の収容依頼~」等の文言を使用すると医師にも伝わりやすい。

 ちなみに「痙攣」は常用漢字ではないので報告書等は「けいれん」の方が望ましい。



【AIによる回答】


第57問「痙攣重積状態の定義」について、救急現場での判断基準とガイドラインの変更点を中心に解説します。


簡易解説

正解は4です。

かつてのガイドラインでは30分以上の継続を痙攣重積(ステータス・エピレプティカス)と定義していましたが、現在は「5分以上続く痙攣」または「意識が戻らないまま繰り返す痙攣」を、早期治療が必要な痙攣重積状態とみなします。1・2・3・5(失禁、呼吸停止、チアノーゼ、意識消失)は全身性痙攣に伴う一般的な症状であり、これらがあるからといって直ちに「重積」と判断する時間的指標にはなりません。


詳細解説

救急現場において、痙攣が「自然に止まるもの」か「医療的介入が必要な重積状態か」を判断することは、脳への不可逆的なダメージを防ぐために極めて重要です。本問は、最新の「てんかん重積状態」の定義に基づいた時間的指標を問うています。

1. 正解の根拠:5分という時間基準(Time t1)

現在の国際的な定義(ILAE:国際対抗てんかん連盟)では、てんかん重積状態を2つの時間軸(t1とt2)で捉えています。

  • t1(5分): 痙攣が自然に止まる可能性が低くなり、異常に遷延し始める時間。この段階で「重積状態」とみなし、救急処置(薬物療法等)を開始すべきとされています。

  • t2(30分): 脳神経細胞の損傷や、全身の代謝破綻(横紋筋融解、高熱、アシドーシス)など、長期的な後遺症を残すリスクが著しく高まる時間。

    救急救命士は、現場到着時に「発症から何分経過しているか」を確認し、5分を超えている場合は重積状態として、高度な気道管理と迅速な搬送を優先しなければなりません。

2. 他の選択肢(痙攣に伴う症候)の分析

  • 選択肢1(尿失禁): 全身性強直間代発作(大発作)では、膀胱括約筋の弛緩や腹圧上昇により尿失禁がしばしば見られます。これは発作に伴う一症状であり、重積の判断基準ではありません。

  • 選択肢2・3(呼吸停止・チアノーゼ): 全身性痙攣中は呼吸筋の強直により一時的に無呼吸状態となり、低酸素血症からチアノーゼを呈することがあります。これらは重症度を示すサインではありますが、時間の定義とは別物です。

  • 選択肢5(呼びかけに反応がない): 痙攣の最中および発作直後(発作後朦朧状態)は意識がないのが通常です。重積の定義において重要なのは、「発作と発作の間で意識が回復するかどうか」という点です。

3. 救急救命士としての現場マネジメント

痙攣重積状態の傷病者に対し、救急救命士が行うべき対応は以下の通りです。

  1. 時間の計測: 「発作開始時刻」を特定し、t1(5分)を過ぎているかを常に意識します。

  2. 気道確保と酸素投与: 低酸素脳症を防ぐため、$SpO_2$の維持に全力を挙げます。

  3. 低血糖の除外: 痙攣の原因が低血糖である場合、ブドウ糖投与によって劇的に改善する可能性があるため、血糖測定は必須です。

  4. 迅速な搬送: 5分以上続く痙攣は自然停止が期待しにくいため、現場滞在時間を短縮し、抗痙攣薬(ジアゼパム等)の投与が可能な医療機関へ急行します。

このように、現在の救急医療では「30分待つ」のではなく「5分で判断する」という迅速なアクションが標準となっていることを理解しておく必要があります。

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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。