62 中枢性めまいを疑う手がかりと考えられる訴えはどれか。1つ選べ。
1 耳鳴りを伴う。
2 耳が聞こえない。
3 歩行時にバランスが取れない。
4 立ち上がった直後にフラフラする。
5 耳がふさがったようで気分が悪い。
解答 3 11版P.506
【AIによる回答】
第62問「中枢性めまいと末梢性めまいの鑑別」について、神経学的な所見と緊急性の観点から解説します。
簡易解説
正解は3です。
めまいは、耳(内耳)に原因がある「末梢性」と、脳(小脳や脳幹)に原因がある「中枢性」に大別されます。中枢性めまいでは、体の平衡感覚を司る小脳などが障害されるため、「歩行時にバランスが取れない(体幹失調)」といった強いふらつきが特徴となります。一方、1・2・5(耳鳴り、難聴、耳閉感)は、内耳の障害を示唆する末梢性めまいの典型的な随伴症状です。
詳細解説
救急現場において、めまいを訴える傷病者が「すぐに病院へ運ぶべき脳の病気(中枢性)」か、あるいは「緊急度は比較的低い耳の病気(末梢性)」かを見極めることは、救急救命士の重要な役割です。
1. 正解の根拠:中枢性めまいの特徴
中枢性めまいは、脳梗塞、脳出血(特に小脳出血や延髄の外側)、脳腫瘍などが原因で起こります。
体幹失調(歩行困難): 小脳や脳幹は運動の微調整やバランスを司っています。ここが障害されると、天井が回るような回転性めまいが軽くても、「立てない」「まっすぐ歩けない」といった強いふらつきが出現します。
神経脱落症状: めまい以外に、ろれつが回らない(構音障害)、物が二重に見える(複視)、顔面や手足の麻痺・しびれなどを伴うことが多く、これらは中枢性を強く疑う決定的な証拠となります。
2. 他の選択肢(末梢性めまい・その他)の分析
末梢性めまいは、三半規管や前庭神経、蝸牛などの異常によって起こります(メニエール病、良性発作性頭位めまい症など)。
選択肢1・2・5(耳症状): 蝸牛や聴神経が近くにあるため、めまいに伴って「耳鳴り」「難聴(聞こえにくい)」「耳閉感(詰まった感じ)」などの聴覚症状が出現します。これらがある場合は、脳よりも耳に原因がある可能性が高まります。
選択肢4(起立性低血圧): 立ち上がった直後のフラフラ感は、一時的な脳血流の低下によるもので、「立ちくらみ」と呼ばれます。これは不整脈や脱水、自律神経の調節不全などが原因であり、いわゆる「めまい(眩暈)」の範疇とは区別して考えます。
3. 救急救命士としての臨床的視点:HINTS試験
医療機関では「HINTS」と呼ばれる身体診察法で中枢性を疑います。救急現場でも以下のポイントを観察します。
眼振の方向: 目を動かした時に眼振(眼球の震え)の方向が変わる(右を見た時は右、左を見た時は左へ震えるなど)場合は、中枢性の可能性が高まります。
激しい嘔吐: 中枢性・末梢性どちらでも起こりますが、脳圧亢進に伴う噴射状の嘔吐には警戒が必要です。
救急活動において、「耳の症状がないのに、歩けないほどふらつく」という訴えは、脳幹や小脳の血管障害を隠している可能性がある「レッドフラッグ(危険信号)」です。速やかに脳外科的処置が可能な医療機関への搬送を選択しなければなりません。
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