91 マロリー・ワイス症候群の特徴を示すのはどれか。1つ選べ。
1 激しい嘔吐
2 暗赤色の吐血
3 クモ状血管腫
4 胃角部小弯側の裂創
5 慢性アルコール中毒
解答 1
第91問は、上部消化管出血の原因の一つであるマロリー・ワイス症候群に関する問題です。この疾患は「どのような状況で、どこが傷つくのか」というメカニズムを理解していれば、容易に正解を導き出すことができます。
解説:マロリー・ワイス症候群の病態と特徴
正解は1です。
マロリー・ワイス症候群は、激しい嘔吐によって腹圧が急激に上昇し、その圧力に耐えきれなくなった食道と胃の境界付近(噴門部)の粘膜が裂けて出血する疾患です。
1 激しい嘔吐:
これが最大の原因であり特徴です。飲酒後や食中毒、あるいはつわりなどによる繰り返す激しい嘔吐の直後に、血が混じったものを吐き出します。
吐血の性質:
出血部位が粘膜の浅い層(裂創)であるため、通常は命に関わるような大出血になることは少なく、多くは自然に止血します。吐血の色は、胃酸と混ざる前の鮮やかな鮮紅色であることが一般的です。
他の選択肢の分析(誤っている記述)
2 暗赤色の吐血:
マロリー・ワイス症候群の吐血は一般に鮮紅色です。暗赤色の吐血やタール便(黒色便)は、胃潰瘍などで血液が胃酸と長時間接触した場合や、より深部からの出血で認められることが多い所見です。
3 クモ状血管腫:
これは肝硬変などの肝機能障害に伴って、胸や肩の皮膚に現れる血管の拡張(クモが足を広げたような赤い斑点)です。マロリー・ワイス症候群そのものの直接的な所見ではありません。
4 胃角部小弯側の裂創:
マロリー・ワイス症候群の裂創ができる場所は、食道胃接合部(噴門部)です。胃角部小弯側は、胃潰瘍の好発部位として知られています。
5 慢性アルコール中毒:
確かにお酒の飲み過ぎで嘔吐し、発症するケースは非常に多いですが、アルコール中毒自体が病態の本質ではありません。「お酒を飲まない人」でも、激しい嘔吐さえあれば誰にでも起こり得る疾患です。
救急救命士としての臨床的視点
現場で「血を吐いた」という通報で駆けつけた際、以下のポイントを確認することでマロリー・ワイス症候群を推測できます。
先行する嘔吐の有無: 「最初は普通の未消化物を吐いていたが、何度か吐くうちに血が混じってきた」という経過は、この疾患に極めて典型的です。最初の一回目からいきなり大量の血を吐く場合は、食道静脈瘤の破裂や胃潰瘍を疑います。
バイタルサイン: 多くは軽症ですが、まれに深い裂創から動脈性出血を来し、ショック状態に陥るケースもあります。顔色や血圧、脈拍を正確に測定し、緊急性を判断します。
現場での適切な聞き取り(問診)が、医療機関への正確な情報伝達と、適切な診療科への案内につながります。
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