44 厚い鉛の板を透過する放射線はどれか。1つ選べ。
1 α線
2 β線
3 γ線
4 X線
5 中性子線
解答 5 11版P.825
【AIによる解説】
正解は5です。 放射線はその種類によって物質を突き抜ける力(透過力)が異なります。α線は紙1枚、β線はアルミニウムなどの薄い金属板、γ線やX線は厚い鉛の板で遮蔽可能です。しかし、中性子線は電荷を持たないため、鉛のような重金属さえも容易に透過してしまいます。中性子線を遮蔽するには、水素を多く含む水やコンクリート、パラフィンなどが必要となるため、本問の条件において正解は中性子線となります。
詳細解説
放射線の透過力は、その粒子の大きさ、質量、および電荷の有無に大きく依存します。救急救命士としては、特殊災害(CBRNE災害)の現場活動において、自身の身を守る「遮蔽」の知識として非常に重要な項目です。
1. 各放射線の特性と遮蔽物
放射線はその性質ごとに、遮蔽に適した素材が明確に決まっています。
α線(アルファ線): ヘリウムの原子核であり、粒子が大きく電荷も強いため、空気中を数センチしか進めず、紙1枚で遮蔽できます。体外からの被ばく(外部被ばく)の影響は小さいですが、吸入等による内部被ばくには注意が必要です。
β線(ベータ線): 電子の流れです。α線よりは透過力が高いですが、数ミリのアルミニウム板やプラスチック板で遮蔽可能です。
γ線(ガンマ線)・X線(エックス線): 電磁波の一種であり、非常に高い透過力を持ちます。これらを防ぐには、密度が高い「鉛」や「厚い鉄板」が有効です。本問の「厚い鉛の板」は、まさにこれらの放射線を防ぐための代表的な遮蔽物です。
中性子線(ちゅうせいしせん): 正解の選択肢です。原子核を構成する中性子が飛び出したもので、電荷を持っていないため、物質中の原子核や電子と電気的な相互作用をしにくく、鉛の板も通り抜けてしまいます。
2. なぜ中性子線は鉛を透過するのか
鉛のような重金属は原子番号が大きく、電子密度が高いため、電磁波であるγ線などを止めるのには最適です。しかし、中性子線はこれらと反応せず、むしろ原子番号の小さい(軽い)原子核と衝突することでエネルギーを失います。そのため、中性子線の遮蔽には、水素原子を豊富に含む「水」「パラフィン」「厚いコンクリート」などが用いられます。
3. 救急現場での安全管理
救急救命士が放射線事故現場に臨む際、防護の3原則は「距離(遠ざかる)」「時間(短くする)」「遮蔽(防護服や遮蔽物を利用する)」です。本問の知識があれば、例えばX線やγ線が疑われる現場ではリード(鉛)エプロンが有効であるが、中性子線が発生している特殊な環境(臨界事故など)では、通常の遮蔽知識が通用しないという危機管理能力に繋がります。
このように、放射線の種類に応じた透過力の違いを理解することは、国家試験対策のみならず、災害現場における救助者自身の安全確保に直結する極めて重要な知識といえます
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