46 不整脈による心肺停止について正しいのはどれか。1つ選べ。
1 呼吸停止が心停止に先行する。
2 徐脈性不整脈が大半を占める。
3 上室性不整脈が原因となることが多い。
4 多源性心室期外収縮は心室細動を招く。
5 心室細動では少量の心拍出量が残存する。
解答 4 11版P.479
【救命士王による解説】
不整脈によるCPAは、突然によるものが多い。救急隊接触後CPAに移行したものについては意識レベル0~3の意識レベルが悪くない傷病者がほとんどである。胸の違和感等があれば躊躇なく安静に搬送、車内収容し12誘導心電図で観察する。3点の誘導では観察できない心筋梗塞があるため12誘導で観察すること。
【AIによる解説】
正解は4です。 多源性心室期外収縮(PVC)は、心室内の複数の部位から異常な電気刺激が発生している状態であり、心室の電気的安定性が著しく低下していることを示します。これが誘因となり、致命的な不整脈である心室細動(VF)や無脈性心室頻拍(VT)へ移行する危険性が非常に高いです。他の選択肢は、心停止の一般的な経過や不整脈の定義、心室細動の血行動態に関する記述として誤りです。
詳細解説
不整脈に起因する心停止(心原性心停止)は、救急現場で最も遭遇する機会が多く、かつ迅速な除細動によって救命の可能性がある病態です。各選択肢を精査し、その生理学的な背景を解説します。
1. 正解の根拠:多源性心室期外収縮のリスク
心室期外収縮(PVC)の中でも、波形の形が異なる「多源性」のものは、心室筋のあちこちで過敏な反応が起きていることを意味します。特に、先行する心拍のT波の頂点付近に次の期外収縮が重なる「R-on-T」現象が起きると、心室全体がバラバラに震え出す心室細動(VF)を誘発します。救命士が心電図モニターで多源性PVCを確認した際は、いつ致命的な不整脈に移行してもおかしくない「厳重警戒」の状態であると判断すべきです。
2. 各選択肢の分析と誤り
選択肢1: 不整脈による心停止(心原性)の場合、通常は心停止が呼吸停止に先行します。呼吸が先に止まるのは、窒息や溺水などの「呼吸原性」心停止の特徴です。心原性では、心停止直後に「死戦期呼吸」と呼ばれる異常な呼吸が見られることが多々あります。
選択肢2: 成人の突然死(目撃のある心停止)において、初期波形として最も多いのは頻脈性不整脈(心室細動や無脈性心室頻拍)です。徐脈性不整脈は、小児の心停止や、成人の終末期、あるいは重篤な低酸素状態の結果として見られることが多い傾向にあります。
選択肢3: 心停止の直接原因となるのは「心室性」不整脈(VF/VT)です。上室性不整脈(心房細動など)は血栓塞栓症などの原因にはなりますが、それ自体が直ちに心停止(ポンプ機能の喪失)を招くことは稀です。
選択肢5: 心室細動(VF)は、心室が細かく震えているだけで、血液を送り出すポンプ機能は完全に消失しています。したがって、心拍出量はゼロです。この状態が数分続くだけで脳へのダメージが不可逆的になるため、直ちに対外式除細動器(AED等)による電気的除細動が必要となります。
3. 救急救命士としての視点
心原性心停止、特にVF/VTを呈している傷病者に対しては、現場での絶え間ない胸骨圧迫と、一秒でも早い除細動が救命率を左右します。多源性PVCのような「前駆不整脈」を搬送中に発見した場合には、直ちに除細動器をスタンバイし、急変に備えるリスクマネジメントが求められます。
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