2026年1月4日日曜日

第48回B問題 第8問 救急活動における身体への負担を軽減し、効率的に力を発揮するための技術「ボディメカニクス」に関する問題

   第48回救急救命士国家試験B問題はこちら

8 傷病者の搬送におけるボディメカニクスに基づいた基本動作について正しいのはどれか。1つ選べ。

1 重心を高くする。

2 基底面積を狭くとる。

3 傷病者から身体を離す。

4 傷病者の手足を広げる。

5 搬送者の大きな筋肉を使う。


解答 5


【AIによる解説】


第8問は、救急活動における身体への負担を軽減し、効率的に力を発揮するための技術「ボディメカニクス」に関する問題です。搬送者の腰痛予防や、傷病者の安全な移動に不可欠な知識です。


解説:ボディメカニクスの8原則

正解は5(搬送者の大きな筋肉を使う)です。

ボディメカニクスとは、骨格や筋肉の相互作用を力学的に利用する技術です。以下のポイントが基本となります。

  • 5 搬送者の大きな筋肉を使う:

    腕や背中の小さな筋肉だけで持ち上げようとすると、すぐに疲労したり腰を痛めたりします。大腿四頭筋(太もも)や大臀筋(お尻)といった「大きな筋群」を活用することで、強い力を安定して出すことができます。


他の選択肢の分析(誤っている点)

  • 1 重心を高くする(誤):

    重心を低くすることで、身体の安定性が増します。膝を曲げ、腰を落として作業するのが基本です。

  • 2 基底面積を狭くとる(誤):

    支持基底面積(両足をついている範囲)を広くとる(足を肩幅程度に広げる)ことで、身体が安定し、大きな力を出せるようになります。

  • 3 傷病者から身体を離す(誤):

    傷病者を身体に近づける(密着させる)ことで、重心移動の距離が短くなり、少ない力で支えることができます。物体は身体から離れるほど、重力の影響で重く感じられます。

  • 4 傷病者の手足を広げる(誤):

    傷病者の腕を胸元で組んだり、足を揃えたりして、できるだけコンパクトにまとめることが、搬送のしやすさと安全に繋がります。


救急救命士としての臨床的視点:腰痛予防と安全管理

救急隊員にとって腰痛は職業病とも言われます。現場では以下の動作を意識します。

  1. 「持ち上げる」ではなく「押す・引く」:

    可能な限り、持ち上げる動作を最小限にし、水平移動やスライディングボード、スクープストレッチャーなどを活用します。

  2. 身体をねじらない:

    傷病者を持ち上げた状態で腰をねじると、椎間板に大きな負担がかかります。方向転換をする際は、足を使って全身で向きを変えます。

  3. 掛け声による連携:

    複数人で搬送する際は、「せーの」という掛け声でタイミングを合わせます。一瞬のズレが特定の隊員への過重負荷や、傷病者の落下事故に繋がります。

基本のまとめ:

足を開き(基底面)、腰を落として(低重心)、相手を引き寄せ、太もも(大筋群)で立ち上がる」というのが、ボディメカニクスの理想的な動作です。

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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。