10 40歳の男性。炎天下での農作業中にめまい、筋肉痛およびあくびを認めていた。その後倒れたので妻が救急要請した。
救急隊到着時観察所見:意識JCS10。呼吸数18/分。脈拍120/分、整。血圧100/60mmHg。体温38.9°C。大量の発汗を認める。
この傷病者が重症と判断する根拠はどれか。1つ選べ。
1 めまい
2 筋肉痛
3 あくび
4 JCS10
5 大量の発汗
解答 4
【AIによる回答】
第10問は、熱中症の重症度分類に関する問題です。現場の状況と身体所見から、その傷病者がどのステージにいるのかを正確に判断する能力が問われています。
解説:熱中症の分類(Ⅰ度・Ⅱ度・Ⅲ度)
正解は4(JCS 10)です。
日本の熱中症診療ガイドラインでは、重症度を以下の3段階に分類しています。
Ⅰ度(軽症): 現場での処置で改善するもの。
めまい、立ちくらみ、筋肉痛、こむら返り、大量の発汗。
Ⅱ度(中等症): 病院への搬送が必要なもの。
頭痛、吐き気、倦怠感、虚脱感。
Ⅲ度(重症): 入院や集中治療が必要なもの。
意識障害(JCS 1以上)、小脳症状(ふらつき)、痙攣、肝・腎機能障害、凝固異常。
4 JCS 10:
傷病者の意識状態が「JCS 10(呼びかけで開眼する)」となっており、意識障害を認めています。これは熱中症の重症度分類で「Ⅲ度(重症)」に該当する最も重要な根拠となります。
他の選択肢の分析(主にⅠ度の症状)
1 めまい / 2 筋肉痛 / 5 大量の発汗:
これらは熱中症の初期サインである「Ⅰ度(軽症)」の特徴的な症状です。
3 あくび:
あくびは、脳血流の一時的な低下や疲労を示唆しますが、重症度分類の直接的な指標ではありません。
救急救命士としての臨床的視点:熱中症の「赤信号」
救急現場で熱中症を疑う場合、以下の3点をセットで評価し、1つでも当てはまれば「重症」として高次救急医療機関を選定します。
意識があるか?:
本症例のように、少しでも意識がおかしければ(JCS 10など)、脳に熱のダメージが及んでいる証拠です。
体温が高いか?:
深部体温(直腸温など)が40℃を超えると細胞が破壊され始めます。現場での腋窩体温が38.9℃であれば、体内温度はさらに高い可能性があります。
皮膚の状態は?:
「大量の発汗」があるうちは、まだ体が熱を逃がそうと頑張っています。しかし、さらに悪化して「皮膚が乾いていて熱い」状態(発汗停止)になると、体温調節機能が破綻した末期的状態(熱射病)であり、極めて危険です。
まとめ:
「熱中症で意識が少しでもおかしければ(JCS≧1)、それはもうⅢ度(重症)である」と、判断基準を明確に持っておきましょう。
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