13 83歳の男性。自宅で食事後、つまずき転倒し頭部を打撲したため家族が救急要請した。
救急隊到着時観察所見:意識JCS1。呼吸数24/分。脈拍92/分、整。血圧142/62mmHg。SpO2値96%前頭部に約5cmの挫創があり、左手首の痛みを訴えていた。転倒したことを覚えていない。既往に糖尿病と心臓手術があり内服薬を処方されている。
救急隊が医療機関に伝える内服薬の情報として最も大切なのはどれか。1つ選べ。
1 利尿薬
2 降圧薬
3 抗凝固薬
4 亜硝酸薬
5 経口糖尿病薬
解答 3
【AIによる回答】
第13問は、外傷における内服薬のリスク管理、特に高齢者の頭部打撲における重要情報を問う問題です。
解説:抗凝固薬と頭部外傷
正解は3(抗凝固薬)です。
この傷病者は「83歳と高齢」であり、「転倒して頭部を打撲」し、「転倒したことを覚えていない(健忘)」という、外傷性脳損傷(急性硬膜下血腫など)を強く疑う状況にあります。
3 抗凝固薬:
既往に「心臓手術」があることから、血栓(血の塊)を防ぐための抗凝固薬(ワーファリンやDOACなど)を服用している可能性が極めて高いです。
これらの薬は「血液をサラサラにする」ため、一度出血が始まると止まりにくくなります。頭部を打撲した場合、受傷直後のCT検査で異常がなくても、後から脳内でじわじわと出血が広がり(遅発性頭蓋内出血)、急激に悪化するリスクが非常に高いです。
医療機関にとって、この薬の情報は「緊急手術の準備」や「中和剤の検討」を左右する最重要情報となります。
他の選択肢の分析
1 利尿薬 / 2 降圧薬:
血圧管理には関わりますが、頭部打撲後の直接的な生命の危険(再出血リスク)に直結するわけではありません。
4 亜硝酸薬:
狭心症の薬ですが、今回の「転倒・頭部打撲」という主訴においては優先順位が下がります。
5 経口糖尿病薬:
低血糖による転倒の可能性を考える上では重要ですが、今そこにある「頭の中の出血リスク」の評価に比べれば、緊急度は低くなります。
救急救命士としての臨床的視点:高齢者外傷のピットフォール
「意識清明」に騙されない:
本症例はJCS 1(今ひとつはっきりしない)ですが、たとえJCS 0であっても、抗凝固薬を飲んでいる高齢者の頭部打撲は「重症」として扱います。
受傷機転の確認:
「転倒したことを覚えていない」のは、脳振盪による健忘かもしれませんが、そもそも「心臓の病気による失神」で倒れた可能性(失神→転倒→頭部打撲)も考慮し、病院へ伝える必要があります。
お薬手帳の確認:
現場では家族に「血液をサラサラにする薬を飲んでいませんか?」と具体的に尋ね、可能であればお薬手帳を確保して病院へ持参します。
まとめ:
「頭を打った + 血液サラサラの薬(抗凝固薬・抗血小板薬) = 脳出血のハイリスク」
この組み合わせは、救急現場における「絶対に見逃してはいけない報告事項」の一つです。
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