31 32歳の女性。妊娠36週。下腹部痛で動けなくなり、自ら救急要請した。
救急隊到着時観察所見:意識清明。呼吸数24/分。脈拍92/分、整。血圧122/72mmHg。SpO2値99%。すでに児頭が膣から出かかっており、救急隊到着と同時に児の全身が娩出された。児は元気に啼泣し、全身はピンク色で、四肢を活発に動かしている。臍帯を切断し、児の全身に付いた羊水を拭き取った。
次に行うべき対応はどれか。1つ選べ。
1 裸のまま救急アルミホイルで包む。
2 乾いたタオルで覆い、さらに救急アルミホイルで包む。
3 救急アルミホイルで包み、さらに乾いたタオルで覆う。
4 お湯で濡らしてしぼったタオルで覆い、さらに救急アルミホイルで包む。
5 救急アルミホイルで包み、さらにお湯で濡らしてしぼったタオルで覆う。
解答 2
【AIによる回答】
第31問は、新生児の搬送における保温についての問題です。現場での急産(自宅出産)において、救急隊が最も注意すべき「低体温症の防止」に関する具体的な手技を問うています。
解説:新生児の保温(蒸発熱の防止)
正解は2(乾いたタオルで覆い、さらに救急アルミホイルで包む)です。
生まれたばかりの赤ちゃんは、周囲の温度変化に非常に弱く、特に「水分が蒸発する際の気化熱」によって体温を急速に奪われます。
「乾いたタオル」が先:
まずは、羊水などの水分をしっかり拭き取った後、清潔で乾いた布やタオルで全身を直接覆います。これにより、皮膚からの放熱と蒸発を防ぎます。
「アルミホイル」が後:
その上から救急アルミホイル(サバイバルブランケット)で包むことで、体から出る熱を反射させ、外気との遮断を確実なものにします。
注意点: アルミホイルを直接赤ちゃんの肌に触れさせてはいけません。金属光沢による冷たさや、角で皮膚を傷つける恐れがあるため、必ずタオルを介して包みます。
他の選択肢の分析
1 裸のまま救急アルミホイルで包む:
前述の通り、肌に直接アルミが触れると熱を奪われる可能性や外傷のリスクがあるため、不適切です。
3 アルミホイルで包み、さらに乾いたタオルで覆う:
順番が逆です。保温効果を最大化するには、断熱・反射材であるアルミを外側にする必要があります。
4・5 お湯で濡らしてしぼったタオル:
一見温かそうに思えますが、タオルの温度はすぐに下がります。濡れたタオルは、時間が経てば「水分」として赤ちゃんの熱を奪う原因(気化熱)になるため、禁忌です。
救急救命士としての臨床的視点:新生児の「ケアの優先順位」
保温は救命処置:
新生児の低体温は、低血糖や代謝性アシドーシス、最悪の場合は呼吸不全を招きます。蘇生が必要ない「元気な啼泣」がある児であっても、保温は第一優先です。
頭部の保温:
赤ちゃんの体の表面積のうち、頭部が占める割合は非常に高いです。タオルで包む際は、顔以外(頭部全体)をしっかり覆う帽子のような形にすることが効果的です。
カンガルーケアの検討:
搬送中、赤ちゃんの状態が安定しており、母親の状態も許せば、母親の胸の上で肌を密着させる「カンガルーケア」を行いながら包み込むことも、非常に有効な保温手段となります。
まとめ:
「水分を拭く + 乾いたタオル + 外側にアルミホイル」
この3ステップを確実に覚えておきましょう。特に「濡れたタオルはNG」というのは、現場での重要な判断基準になります。
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