100 成人に比べて乳児で生じやすい外傷はどれか。1つ選べ。
1 肋骨骨折
2 骨盤骨折
3 橈骨頭亜脱臼
4 腰椎椎体骨折
5 頭蓋骨粉碎骨折
解答 3
【AIによる解説】
第100問は、小児(乳幼児)特有の外傷に関する問題です。成人の骨格と異なり、子供の骨や関節は成長過程にあるため、特有の負傷の仕方をします。
解説:橈骨頭亜脱臼(とうこっとう・あだっきゅう)
正解は3です。
橈骨頭亜脱臼は、一般的に「肘内障(ちゅうないしょう)」と呼ばれる、乳幼児に極めて頻度の高い外傷です。
メカニズム:
子供の手を急に引っ張ったり、手をつないで歩いている時に子供が転びそうになって腕を引き上げたりした際に発生します。
病態:
乳幼児は肘の関節にある「輪状靭帯」というバンドのような組織がまだ未発達で緩いため、腕を引っ張られた拍子に橈骨の頭がこの靭帯から半分抜けかかった状態(亜脱臼)になります。
症状:
激しく泣き、腕をだらんと下げて動かそうとしなくなります。腫れや皮下出血は見られないのが特徴です。
他の選択肢の分析(成人と比較した乳幼児の特徴)
1 肋骨骨折:
乳児の胸郭(肋骨)は非常に弾力性に富んでいるため、強い圧迫を受けても折れにくいのが特徴です。逆に言えば、乳児で肋骨骨折がある場合は、肺挫傷などの内部損傷が深刻であるか、あるいは虐待を疑う所見となります。
2 骨盤骨折:
骨盤も同様に弾力性があり、成人のような高エネルギー外傷(交通事故など)でも折れにくい傾向にあります。
4 腰椎椎体骨折:
第88問でも触れた通り、脊椎の骨折は骨密度の低下した高齢者に多く、柔軟な骨を持つ乳児では極めて稀です。
5 頭蓋骨粉砕骨折:
乳児の頭蓋骨はまだ結合が完全に閉じておらず(大泉門など)、骨自体も柔らかいため、衝撃を受けると折れる(粉砕する)よりも、ピンポン玉を凹ませたような「ピンポン玉骨折(陥没骨折)」になりやすいのが特徴です。
救急救命士としての臨床的視点
現場で「腕を動かさない子供」に接触した際、以下のポイントを確認します。
受傷機転の確認:
「親が手を引っ張った」「友達と手を繋いで遊んでいた」というエピソードがあれば、肘内障の可能性が高まります。
他の外傷との鑑別:
もし腫れがひどかったり、変形が見られたり、あるいは「引っ張った」のではなく「高いところから落ちた」といった機転であれば、肘の周りの骨折(上腕骨顆上骨折など)を疑い、愛護的に固定して搬送する必要があります。
肘内障自体は整復されればすぐに治る予後良好な疾患ですが、現場では常に「骨折の可能性」を否定せず、慎重に扱う姿勢が求められます。
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