103 循環は安定しているが、頭を強く打って右耳からの髄液漏を認める傷病者を搬送する際、最も適切な体位は図(別冊No.14)のどれか。1つ選べ。
1 A
2 B
3 C
4 D
5 E
解答 1
【AIによる解説】
第103問は、頭蓋底骨折に伴う髄液漏(ずいえきろう)がある傷病者の搬送体位に関する問題です。病態の悪化を防ぎつつ、二次的な感染リスクを最小限にするための適切な判断が求められます。
解説:髄液漏がある場合の搬送体位
正解は1(図A:頭部挙上・患側下)です。
頭部を強く打ち、耳から髄液(透明な液体)が漏れている状態は、耳出血と同様に「中頭蓋窩の骨折(頭蓋底骨折)」を強く示唆します。
頭部挙上の理由:
頭を少し高く(15〜30度程度)することで、頭蓋内の圧力を下げ、髄液が噴き出すのを抑えます。
患側(右側)を下にする理由:
漏れている側を下にすることで、髄液が耳の中に溜まって逆流し、頭蓋内感染(髄膜炎など)を引き起こすリスクを低減させます。また、体外へ排出しやすくすることで、頭蓋内の圧力を一定に保つ役割もあります。
他の選択肢(体位)の評価
図B(仰臥位・頭部フラット):
頭蓋内圧が上がりやすく、髄液の漏出を助長する可能性があります。
図C(腹臥位):
呼吸管理や顔面の観察が困難であり、頭部外傷の傷病者には不適切です。
図D(左側臥位・健側下):
右耳からの髄液が耳道内に貯留したり、鼻腔などから逆流したりしやすくなり、感染のリスクが高まります。
図E(足側挙上):
ショック時の体位(トレンドレンブルグ位)に近いですが、頭部外傷では頭蓋内圧を著しく上昇させるため、禁忌に近い対応です。
救急救命士としての臨床的視点:髄液漏の扱い
現場で髄液漏(耳漏・鼻漏)を確認した際、以下の「やってはいけないこと」を徹底します。
耳や鼻に綿などを詰めない:
出口を塞ぐと髄液が頭蓋内に逆流し、細菌による髄膜炎を引き起こす危険が非常に高くなります。漏れているものは、清潔なガーゼを当てる程度にして「流れるまま」にします。
力ませない(鼻をかませない):
鼻をかんだり、咳き込んだりすると、鼻腔から脳内へ空気が入り込む「外傷性気脳症」を引き起こすことがあります。
意識レベルの継続観察:
頭蓋底骨折があるということは、かなりの衝撃が加わっています。搬送中に意識状態が悪化(意識清明期からの急変など)しないか、瞳孔不同が出ないかを厳重に監視します。
「漏れている側を下にして、少し頭を高くする」という処置は、現場でできる最も効果的な感染・悪化防止策の一つです。

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