2025年12月24日水曜日

第48回A問題 第108問 動物による外傷、特にイヌ咬傷(こうしょう)とその合併症に関する知識を問う問題

 第48回救急救命士国家試験A問題はこちら

108 イヌ咬傷について正しいのはどれか。1つ選べ。

1 急速に出血傾向を来す。

2 狂犬病は予後不良である。

3 ネコよりも感染率が高い。

4 損傷は皮膚組織にとどまる。

5 咬傷部位の洗浄は不要である。


解答 2


【AIによる解説】


第108問は、動物による外傷、特にイヌ咬傷(こうしょう)とその合併症に関する知識を問う問題です。


解説:狂犬病の深刻さと咬傷の管理

正解は2です。

動物に噛まれた際、最も恐ろしい疾患の一つが狂犬病です。

  • 2 狂犬病は予後不良である:

    狂犬病は、発症すると有効な治療法がなく、致死率はほぼ100%という極めて恐ろしい感染症です。日本では1957年以降、国内での発生(人、動物ともに)はありませんが、海外(特にアジア、アフリカなど)では依然として多くの死者が出ています。海外旅行中に動物に噛まれた場合は、発症を防ぐためのワクチン接種(曝露後ワクチン)が必須となります。


他の選択肢の分析(誤っている記述)

  • 1 急速に出血傾向を来す:

    通常のイヌ咬傷で全身の出血傾向(DICなど)を来すことは稀です。ただし、一部の細菌(カプノサイトファーガ・カニモルサスなど)に感染した場合、重症化して敗血症や凝固異常を起こすことはありますが、これは「急速な」一般的な経過ではありません。

  • 3 ネコよりも感染率が高い:

    実はネコ咬傷の方が感染率が高い(約30〜50%)と言われています。ネコの歯は細く鋭いため、細菌が組織の深い部分まで入り込みやすく、膿瘍(膿が溜まること)を作りやすいためです。イヌ咬傷の感染率は約5〜20%程度です。

  • 4 損傷は皮膚組織にとどまる:

    大型犬などの場合、噛む力が非常に強いため、皮膚だけでなく筋肉、神経、血管、さらには骨にまで及ぶ深部損傷や骨折を来すことがあります。

  • 5 咬傷部位の洗浄は不要である:

    洗浄は最も重要な処置です。動物の口腔内には多くの細菌がいるため、受傷直後に大量の水道水などで傷口を徹底的に洗い流すことで、感染症のリスクを劇的に下げることができます。


救急救命士としての臨床的視点:現場での対応

動物に噛まれた傷病者に対応する際は、以下のステップを意識します。

  1. 徹底的な洗浄の推奨:

    現場で可能であれば、あるいは傷病者に指導して、まず水道水で傷口をしっかりと洗い流します。

  2. 受傷状況の確認:

    「どんな動物に」「いつ」「どこで(国内か海外か)」噛まれたかを確認します。特に海外での受傷であれば、狂犬病のリスクを医療機関に確実に伝えます。

  3. 感染症への警戒:

    咬傷は数時間〜数日後に「赤く腫れる」「熱が出る」といった感染症状が出ることが多いため、必ず医療機関を受診するよう促します。また、破傷風の予防接種歴についても確認が必要です。

動物による傷は、見た目が小さくても奥深くで菌が繁殖しやすいため、「たかが噛み傷」と軽視せず、適切な外科的処置と感染管理へ繋ぐことが大切です。

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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。