108 イヌ咬傷について正しいのはどれか。1つ選べ。
1 急速に出血傾向を来す。
2 狂犬病は予後不良である。
3 ネコよりも感染率が高い。
4 損傷は皮膚組織にとどまる。
5 咬傷部位の洗浄は不要である。
解答 2
【AIによる解説】
第108問は、動物による外傷、特にイヌ咬傷(こうしょう)とその合併症に関する知識を問う問題です。
解説:狂犬病の深刻さと咬傷の管理
正解は2です。
動物に噛まれた際、最も恐ろしい疾患の一つが狂犬病です。
2 狂犬病は予後不良である:
狂犬病は、発症すると有効な治療法がなく、致死率はほぼ100%という極めて恐ろしい感染症です。日本では1957年以降、国内での発生(人、動物ともに)はありませんが、海外(特にアジア、アフリカなど)では依然として多くの死者が出ています。海外旅行中に動物に噛まれた場合は、発症を防ぐためのワクチン接種(曝露後ワクチン)が必須となります。
他の選択肢の分析(誤っている記述)
1 急速に出血傾向を来す:
通常のイヌ咬傷で全身の出血傾向(DICなど)を来すことは稀です。ただし、一部の細菌(カプノサイトファーガ・カニモルサスなど)に感染した場合、重症化して敗血症や凝固異常を起こすことはありますが、これは「急速な」一般的な経過ではありません。
3 ネコよりも感染率が高い:
実はネコ咬傷の方が感染率が高い(約30〜50%)と言われています。ネコの歯は細く鋭いため、細菌が組織の深い部分まで入り込みやすく、膿瘍(膿が溜まること)を作りやすいためです。イヌ咬傷の感染率は約5〜20%程度です。
4 損傷は皮膚組織にとどまる:
大型犬などの場合、噛む力が非常に強いため、皮膚だけでなく筋肉、神経、血管、さらには骨にまで及ぶ深部損傷や骨折を来すことがあります。
5 咬傷部位の洗浄は不要である:
洗浄は最も重要な処置です。動物の口腔内には多くの細菌がいるため、受傷直後に大量の水道水などで傷口を徹底的に洗い流すことで、感染症のリスクを劇的に下げることができます。
救急救命士としての臨床的視点:現場での対応
動物に噛まれた傷病者に対応する際は、以下のステップを意識します。
徹底的な洗浄の推奨:
現場で可能であれば、あるいは傷病者に指導して、まず水道水で傷口をしっかりと洗い流します。
受傷状況の確認:
「どんな動物に」「いつ」「どこで(国内か海外か)」噛まれたかを確認します。特に海外での受傷であれば、狂犬病のリスクを医療機関に確実に伝えます。
感染症への警戒:
咬傷は数時間〜数日後に「赤く腫れる」「熱が出る」といった感染症状が出ることが多いため、必ず医療機関を受診するよう促します。また、破傷風の予防接種歴についても確認が必要です。
動物による傷は、見た目が小さくても奥深くで菌が繁殖しやすいため、「たかが噛み傷」と軽視せず、適切な外科的処置と感染管理へ繋ぐことが大切です。
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