110 高齢者に多い外傷はどれか。1つ選べ。
1 肘内障
2 若木骨折
3 骨端軟骨障害
4 中心性頸髄損傷
5 揺さぶられ症候群
解答 4
【AIによる解説】
第110問は、高齢者の外傷的特徴に関する問題です。加齢に伴う身体的変化(骨密度の低下、脊柱の変形、防御反応の遅れ)が、どのような負傷に結びつくかを理解する必要があります。
解説:高齢者と中心性頸髄損傷
正解は4です。
中心性頸髄損傷は、高齢者に非常に多く見られる脊髄損傷の形態です。
メカニズム:
高齢者は加齢により首の骨(頸椎)に変形があったり、靭帯が厚くなったりして、脊髄が通る管(脊柱管)がもともと狭くなっていることが多いです。その状態で、転倒して顔を打つなどして首が後ろに強く反る(過伸展)と、狭い管の中で頸髄が強く圧迫されて損傷します。
特徴的な症状:
脊髄の中心部(手の神経が通る場所)が主にダメージを受けるため、足よりも「手の麻痺やしびれ」が強く出るのが大きな特徴です。「歩けるけれど、お箸が持てない、手がしびれる」といった訴えから発見されることもあります。
他の選択肢の分析(いずれも小児特有の外傷)
1 肘内障:
第100問で解説した通り、靭帯が未発達な乳幼児(主に5歳以下)に特有の外傷です。
2 若木骨折:
子供の骨は柔軟で膜(骨膜)が厚いため、ポキッと折れずに、若い木を曲げた時のように「しなるように折れる(不全骨折)」ことがあります。これが小児に特有の若木骨折です。
3 骨端軟骨障害:
成長期にある子供の骨の端にある「成長軟骨(骨端線)」が、使いすぎや外傷によって損傷されるものです(オスグッド病など)。高齢者はすでに骨が完成しているため、この部位の障害は起こりません。
5 揺さぶられ症候群:
乳幼児が激しく揺さぶられることで、脳挫傷や硬膜下血腫を起こすものです。
救急救命士としての臨床的視点:高齢者の転倒評価
高齢者が「転んで顔を打った」「おでこに傷がある」という現場では、以下の点に注意します。
「歩けるから大丈夫」は禁忌:
中心性頸髄損傷の場合、足の動きに問題がなく歩行可能なことがありますが、後に症状が進行することもあります。少しでも手足のしびれや違和感を訴える場合は、頸椎保護(固定)を検討します。
受傷機転の確認:
単なる転倒なのか、あるいは「失神」して倒れたのかを確認します。不整脈や脳欠血が原因で倒れた場合、再発や他の重症疾患が隠れている可能性があるからです。
他の好発骨折の確認:
高齢者の転倒では、本問の頸髄損傷のほかに「大腿骨近位部骨折」「脊椎圧迫骨折」「橈骨遠位端骨折(手首)」が四大骨折として知られています。
高齢者の外傷は「軽微な転倒」に見えても、その背景にある解剖学的脆弱性を考慮し、慎重な全身評価を行うことが求められます。
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