2025年12月16日火曜日

第48回A問題 第119問 高地医学における急性高山病(AMS)から、より重篤な高地脳浮腫(HACE)への進展を判断するための重要な指標を問う問題

第48回救急救命士国家試験A問題はこちら

 119 急性高山病の症状に加えて高地脳浮腫の判断基準となる症状はどれか。1つ選べ。

1 頭痛

2 徐脈

3 頻呼吸

4 運動失調

5 チアノーゼ


解答 4


【AIによる解説】


第119問は、高地医学における急性高山病(AMS)から、より重篤な高地脳浮腫(HACE)への進展を判断するための重要な指標を問う問題です。


解説:高地脳浮腫を疑う決定的症状

正解は4です。

高山病は、標高が上がるにつれて酸素分圧が低下することによって起こる一連の病態です。

  • 急性高山病(AMS): 低酸素により脳血流が増加することで、頭痛、食欲不振、吐き気、倦怠感などが現れます。これは「二日酔い」に似た症状と例えられます。

  • 高地脳浮腫(HACE): 急性高山病がさらに悪化し、脳に水分が溜まって腫れ(浮腫)が生じる状態です。放置すれば死に至る極めて危険な状態です。

  • 4 運動失調:

    高地脳浮腫の判断基準として最も重要視されるのが、「運動失調(フラフラして真っ直ぐ歩けない)」「意識障害」です。急性高山病の症状(頭痛など)がある傷病者に、一歩足を出した時にふらつきが見られた場合、それは単なる高山病ではなく「脳浮腫」が始まっているサインとみなします。


他の選択肢の分析

  • 1 頭痛:

    急性高山病(AMS)の必須症状ですが、これだけでは「脳浮腫」とまでは断定できません。

  • 2 徐脈:

    高地では低酸素を補うために、通常は「頻脈(心拍数が増える)」になります。

  • 3 頻呼吸:

    低酸素に対する正常な生体反応であり、高地に順応しようとする過程で見られます。

  • 5 チアノーゼ:

    酸素不足により皮膚や粘膜が青紫色になる状態です。重症の高山病(特に高地肺水腫など)で見られますが、脳浮腫を特異的に示す判断基準ではありません。


救急救命士としての臨床的視点:高山病の現場管理

登山や高地での救急活動において、以下の「高山病の3大病態」を理解しておく必要があります。

  1. 急性高山病 (AMS): 休息と水分補給、必要に応じて高度を下げることで改善します。

  2. 高地脳浮腫 (HACE): 運動失調や意識障害が特徴。直ちに下山(高度を下げる)させ、酸素投与が必要です。

  3. 高地肺水腫 (HAPE): 肺に水が溜まる状態で、安静時の息切れ、激しい咳、ピンク色の泡状の痰が特徴です。これも直ちに下山が必要です。

現場での評価ポイント:

傷病者が真っ直ぐ歩けるかを確認する「直線歩行テスト」は、現場で脳浮腫を早期発見するために非常に有効な手段です。

「山でのフラつきは、脳の腫れのサイン」と捉え、一刻も早く標高の低い場所へ移動させることが救命の鍵となります。

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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。