56 胸痛の強さが短時間でピークに達するのはどれか。1つ選べ。
1 帯状疱疹
2 大動脈解離
3 急性心筋炎
4 急性胸膜炎
5 逆流性食道炎
解答 2 11版P.521
【救命士王による回答】
持続する胸痛の場合でも大動脈解離となっている場合があるから注意。
12誘導は必ず取る。STに変化があっても大動脈解離は否定できない。
低血圧になっていなかった場合、背部痛がなくても血圧の左右差を確認したほうが良い。
胸痛でST変化あり、血圧140などであったら迷わず血圧の左右差を確認する。
血圧測定時には、マンシェット巻くのは同じ隊員で。各隊、予備のマンシェットがあると思う。可能であれば最初から血圧計のマンシェットと予備のマンシェットを同時に巻いてチューブを差し替えて左右の血圧を測るとクール。
【AIによる回答】
第56問「胸痛の発症様式と鑑別」について、血管病態の緊急性と痛みの特性に焦点を当てて解説します。
簡易解説
正解は2です。
大動脈解離は、大動脈の壁(内膜)が突然裂ける疾患であり、発症した瞬間に「引き裂かれるような」激痛が走り、痛みの強さが短時間(瞬間的)でピークに達するのが最大の特徴です。他の選択肢の疾患(炎症、感染、消化器症状)は、時間の経過とともに徐々に痛みが強くなる「漸増(ぜんぞう)的」な経過をたどることが多く、発症様式が明確に異なります。
詳細解説
救急現場において、胸痛を訴える傷病者の「痛みの始まり方(発症様式)」を確認することは、生命に直結する疾患(Killer Chest Pain)を見極めるための極めて重要なステップです。
1. 正解の根拠:大動脈解離の「突発性」
大動脈解離は、高血圧などを背景に大動脈の内膜に亀裂が入り、そこから血液が入り込んで中膜が剥がれていく病態です。血管壁が物理的に破壊される瞬間に痛みが生じるため、発症したその瞬間が最も痛いという「突発発症(Sudden onset)」の形態をとります。
傷病者はよく「バットで殴られたような」「体が引き裂かれるような」と表現し、痛みの場所が胸から背部、腰へと移動(移動性疼痛)することもあります。この「瞬間にピークに達する痛み」を確認した時点で、救急救命士は最優先で大動脈解離を疑い、血圧の左右差の確認や迅速な搬送準備に入る必要があります。
2. 他の選択肢の痛みの特性
選択肢1(帯状疱疹): ウイルスによる神経炎症です。皮膚に水疱が出る数日前からピリピリとした痛みが出始め、数日かけてピークに達します。
選択肢3(急性心筋炎): 心筋の炎症です。多くは感冒様症状(発熱など)の後に、数時間から数日かけて胸痛や呼吸困難が増悪します。
選択肢4(急性胸膜炎): 胸膜の炎症です。深呼吸や咳に伴って痛みが増強するのが特徴で、炎症の進行とともに徐々に痛みが強くなります。
選択肢5(逆流性食道炎): 胃酸の逆流による食道粘膜の刺激です。食後や臥位になった際にじわじわと胸焼けのような痛みが生じるもので、瞬間的にピークに達することはありません。
3. 救急救命士としての臨床的視点
胸痛の鑑別において、大動脈解離と同様に「瞬間のピーク」を呈する疾患には「肺塞栓症」や「気胸」があります。一方、同じく致死的な「急性心筋梗塞」は、数分から数十分かけて痛みが強まり、持続するという経過(漸増・持続)をたどることが一般的です。
救急活動では、OPQRST聴取(Onset: 発症様式)を徹底し、
「何時何分、何をしていた時に、突然痛くなったか」
を明確にすることで、大動脈解離のような外科的緊急疾患を早期にスクリーニングし、適切な医療機関選定(心臓血管外科の有無など)に繋げることが求められます。
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