2025年12月24日水曜日

第48回A問題 第66問「意識障害の随伴症状と原因疾患」について

第48回救急救命士国家試験A問題はこちら

66 意識障害傷病者の随伴症状と原因疾患の組合せで正しいのはどれか。1つ選べ。

1 徐脈-覚醒剤中毒

2 低体温-甲状腺クリーゼ

3 血圧上昇-大動脈弁狭窄症

4 大量発汗-高浸透圧高血糖症候群

5 皮膚紅潮-一酸化炭素中毒


解答 5 


【AIによる回答】


第66問「意識障害の随伴症状と原因疾患」について、バイタルサインや皮膚所見から病態を特定する、救急現場で非常に実践的な知識を解説します。


簡易解説

正解は5です。

一酸化炭素(CO)中毒では、ヘモグロビンとCOが強力に結合して「カルボキシヘモグロビン」が形成されます。これが鮮やかな紅色を呈するため、重症例では皮膚(や粘膜)が紅潮するのが特徴的な所見です。他の選択肢は、疾患と症状が矛盾している、あるいは逆の関係になっています。


詳細解説

意識障害傷病者の評価において、随伴するバイタルサインの異常や皮膚の変色を確認することは、原因疾患を絞り込む「AIUEOTIPS」の精度を高めるために不可欠です。

1. 正解の根拠:一酸化炭素中毒と皮膚所見

一酸化炭素中毒の際、血液中のカルボキシヘモグロビン濃度が上昇すると、特有の「桜桃色(チェリーレッド)」の皮膚紅潮が見られることがあります。

  • 注意点: 実際の救急現場では、死後硬直に近いレベルの重症例でないとはっきり確認できないことも多いため、「紅潮がないからCO中毒ではない」と否定してはいけません。火災現場や閉鎖空間でのエンジン稼働といった「状況証拠」が最も重要です。

2. 他の選択肢の誤りと正しい組み合わせ

  • 選択肢1:覚醒剤中毒 × 徐脈 → 〇 頻脈・血圧上昇

    覚醒剤(アンフェタミン等)は交感神経を著明に興奮させます。したがって、心拍数は上がり(頻脈)、血圧も上昇、瞳孔は散大します。

  • 選択肢2:甲状腺クリーゼ × 低体温 → 〇 高熱

    問60でも解説した通り、甲状腺クリーゼは代謝の暴走により38度以上の高熱を来します。低体温を来すのは「粘液水腫性昏睡」です。

  • 選択肢3:大動脈弁狭窄症 × 血圧上昇 → 〇 血圧低下(または脈圧の減少)

    心臓の出口の弁が狭くなる疾患です。心拍出量が低下するため、重症では血圧が低下し、失神や意識障害を招きます。

  • 選択肢4:高浸透圧高血糖症候群(HHS) × 大量発汗 → 〇 皮膚の乾燥(脱水)

    著明な高血糖による浸透圧利尿で、身体は極度の脱水状態に陥ります。皮膚や粘膜はカラカラに乾燥し、ツルゴール(皮膚の張り)が低下するのが特徴です。大量発汗が見られるのは、むしろ「低血糖」の際の交感神経症状です。


救急救命士としての臨床的視点:皮膚は情報の宝庫

意識障害の傷病者に接触した際、皮膚の状態を観察するだけで多くの情報が得られます。

皮膚の状態疑うべき病態
冷感・湿潤(冷や汗)低血糖、ショック(心原性など)、心筋梗塞
乾燥・高温熱中症、甲状腺クリーゼ、抗コリン薬中毒
乾燥・低体温粘液水腫性昏睡、高度の脱水、寒冷曝露
紅潮(赤み)CO中毒、熱中症、アルコール中毒

救急救命士は、バイタルサインの数値だけでなく、実際に「見て、触れて」得られる皮膚の情報を組み合わせることで、目隠しをされた状態のような意識障害の鑑別において、正しい診断の道筋(プロトコール)を見つけ出すことができます。

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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。