2025年12月24日水曜日

第48回A問題 第70問「喀血と吐血の鑑別」について

第48回救急救命士国家試験A問題はこちら

70 喀血を示唆する所見はどれか。1つ選べ。

1 悪心を伴っている。

2 暗赤色の血液である。

3 血液に泡が混じっている。

4 肝硬変で通院治療中である。

5 血液がたらたらと持続的に出る。


解答 3


【AIによる解説】


第70問「喀血と吐血の鑑別」について、気道由来か消化管由来かを見極める臨床的所見を中心に詳しく解説します。


簡易解説

正解は3です。

喀血(かっけつ)は下気道(肺や気管支)からの出血であり、血液が空気と混ざり合いながら排出されるため、「泡(気泡)」が混じっているのが最大の特徴です。また、肺胞でのガス交換の影響で酸素を多く含むため、鮮紅色を呈し、アルカリ性を示します。一方、1・2・4(悪心、暗赤色、肝硬変の既往)は、胃や食道などの消化管から出血する「吐血(とけつ)」を示唆する所見です。


詳細解説

救急現場において、口から血を出している傷病者に接触した際、それが「呼吸器疾患(喀血)」なのか「消化器疾患(吐血)」なのかを判断することは、搬送先の選定や処置の優先順位を決定する上で極めて重要です。

1. 正解の根拠:喀血の特性

喀血は、肺結核、肺癌、気管支拡張症、肺膿瘍などの疾患により、気道内の血管が破綻して起こります。

  • 泡の混入: 血液が肺胞や気管支を通る際、呼吸による空気と撹拌されるため、細かな泡(泡沫状)を含みます。

  • 性状: 咳とともに排出され、色は鮮やかな赤色(鮮紅色)です。胃酸と混ざらないため、反応はアルカリ性となります。

2. 他の選択肢(吐血を示唆する所見)の分析

吐血は、上部消化管(食道・胃・十二指腸)からの出血です。

  • 選択肢1(悪心を伴う): 吐血は「嘔吐」の機序で排出されるため、強い吐き気(悪心)を伴います。喀血は「咳嗽(咳)」とともに排出されます。

  • 選択肢2(暗赤色の血液): 血液が胃酸(塩酸)と混ざると、ヘモグロビンが酸化されて「塩酸ヘマチン」に変化します。そのため、コーヒー残渣のような黒褐色や暗赤色を呈するのが特徴です。

  • 選択肢4(肝硬変の既往): 肝硬変があると門脈圧が高まり、「食道静脈瘤」が形成されやすくなります。これが破裂すると大量の吐血を来すため、既往歴は吐血を強く疑う有力な情報となります。

  • 選択肢5(たらたらと持続的): 喀血は咳に合わせて「噴出状」に出ることが多く、たらたらと持続的に出る場合は、鼻出血が喉に回ったものや、口腔内・咽頭からの出血(いわゆる「血痰」の範疇)を疑います。

3. 喀血と吐血の比較表

特徴喀血 (Hemoptysis)吐血 (Hematemesis)
排出方法咳とともに(咳嗽)吐き気とともに(嘔吐)
色調鮮紅色暗赤色〜黒褐色(コーヒー残渣様)
性状泡(気泡)が混じる食べ物の残りカスが混じることがある
液性アルカリ性酸性(胃酸の影響)
既往歴肺結核、肺癌、肺炎胃潰瘍、肝硬変、十二指腸潰瘍

4. 救急救命士としての臨床的視点

現場で「血を吐いた」傷病者を診る際は、以下の点に注意します。

  1. 窒息への警戒: 喀血の場合、血液が気道を塞いで窒息を来すリスクが非常に高いです。傷病者を吸引しやすく、かつ健側(出血していない方の肺)を下にした体位(側臥位)をとらせるなど、気道管理を最優先します。

  2. ショックの評価: どちらも大量出血に至れば低容量性ショックを来します。バイタルサインを継続的に監視し、必要に応じて高濃度酸素を投与します。

  3. 随伴症状の確認: 胸痛や呼吸困難があれば喀血を、腹痛や黒色便(メレナ)があれば吐血を強く疑います。

このように、血液の外観(泡の有無や色)と、排出されるまでのプロセス(咳か嘔吐か)を正確に評価することが、適切なプレホスピタルケアに繋がります。

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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。