2025年12月24日水曜日

第48回A問題 第71問「呼吸困難の緊急度判断」について

第48回救急救命士国家試験A問題はこちら

71 呼吸困難の随伴症状として緊急度の高いのはどれか。1つ選べ。

1 咳嗽

2 高熱

3 血圧の上昇

4 手のしびれ

5 青紫色の口唇


解答 5


【AIによる解説】


第71問「呼吸困難の緊急度判断」について、生命維持に直結する身体所見(チアノーゼ)を中心に解説します。


簡易解説

正解は5です。

青紫色の口唇は、血液中の酸素が著しく不足している状態(低酸素血症)を示す「中心性チアノーゼ」という所見です。これは生命の危機が差し迫っていることを意味し、救急現場において最優先で処置・搬送が必要な「緊急度:高」のサインです。他の選択肢(咳、熱、血圧上昇、しびれ)も病的なサインではありますが、直ちに生命を脅かす指標としての優先度はチアノーゼよりも低くなります。


詳細解説

呼吸困難を訴える傷病者に対し、救急救命士は「生理学的評価(呼吸・循環・意識)」を瞬時に行い、緊急度を判定しなければなりません。

1. 正解の根拠:チアノーゼの病態

チアノーゼとは、皮膚や粘膜が青紫色に見える状態を指します。

  • メカニズム: 酸素と結合していない「還元ヘモグロビン」が血液中に一定量(5g/dL以上)増えると、その色が透けて青紫に見えます。

  • 緊急性: 特に「口唇(くちびる)」や「舌」に見られる中心性チアノーゼは、肺でのガス交換が壊滅的に機能していないことを示唆します。これは、まもなく呼吸停止や心停止に至る可能性がある「レッドフラッグ」です。

2. 他の選択肢の緊急度・重症度評価

  • 選択肢1(咳嗽): 咳(がいそう)は肺炎、心不全、気管支喘息などで見られますが、咳そのものが直ちに命を奪うわけではありません。

  • 選択肢2(高熱): 感染症(肺炎など)を示唆しますが、呼吸不全の「直接的な」緊急度指標としてはチアノーゼに劣ります。

  • 選択肢3(血圧の上昇): 呼吸が苦しいことへの不安やストレス(交感神経の亢進)で血圧は上がります。むしろ、呼吸困難時に血圧が低下してくる方が、代償機構の破綻を意味するため緊急度は高くなります。

  • 選択肢4(手のしびれ): 精神的な不安による「過換気症候群」でよく見られる症状です。呼吸困難を強く訴えますが、生理学的な緊急度は比較的低い($SpO_2$は正常であることが多い)疾患の代表例です。

3. 救急救命士としての緊急度判定(クリティカル・サイン)

呼吸困難傷病者で、以下の所見(正解の5を含む)があれば「緊急度:高」と判断し、即座に酸素投与と気道管理を開始します。

  • チアノーゼ(口唇・爪床)

  • 意識障害(不穏、嗜眠など)

  • 呼吸数の異常(30回/分以上の頻呼吸、または10回/分以下の徐呼吸)

  • 補助呼吸筋の使用(鼻翼呼吸、陥没呼吸、胸腹部矛盾呼吸)

  • 発語不能(一言も話せないほどの息苦しさ)

4. 臨床的アドバイス

現場で「チアノーゼ」を確認した際は、$SpO_2$(経皮的酸素飽和度)の値がすでに80%台やそれ以下にまで低下している可能性が極めて高いです。数値に頼る前に、視覚的な情報(青紫色の口唇)だけで「命に関わる事態」であると認識し、迅速なアクションに繋げることが救急救命士のプロフェッショナルな判断です。

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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。