73 急性心筋梗塞の急性期の重篤な合併症はどれか。1つ選べ。
1 心破裂
2 心房細動
3 心房中隔穿孔
4 肺血栓塞栓症
5 大動脈弁閉鎖不全
解答 1
【AIによる解説】
第73問「急性心筋梗塞(AMI)の合併症」について、特に生命に直結する急性期の重篤な病態を中心に解説します。
簡易解説
正解は1です。
心破裂は、心筋梗塞によって壊死した心筋組織が、心臓内圧に耐えられずに裂けてしまう致死的な合併症です。発症から数日以内に起こることが多く、心タンポナーデを引き起こして突然死の原因となります。他の選択肢も心疾患に関連しますが、AMI急性期の「重篤な合併症」としての優先度や病態の整合性から、心破裂が最も適切です。
詳細解説
急性心筋梗塞は、血管が詰まってから数時間〜数日の間に、心筋の構造的・電気的な変化に伴う様々な合併症を引き起こします。救急救命士は、搬送中や経過観察中にこれらの兆候をいち早く察知しなければなりません。
1. 正解の根拠:心破裂の緊急性
心筋梗塞により血流が途絶えると、心筋細胞は壊死し、組織が非常に脆(もろ)くなります。
病態: 壊死した心筋が心臓の収縮による圧力で裂けるのが心破裂です。
結果: 左心室の自由壁が破裂すると、心嚢(しんのう)内に一気に血液が流れ込み、心タンポナーデ(心臓が周囲から圧迫されて膨らめなくなる状態)を来します。
予後: 極めて予後不良であり、血圧が急降下して数分以内に心停止に至ることが多いため、最も警戒すべき重篤な合併症です。
2. 他の選択肢の分析
選択肢2(心房細動): AMIに伴って発生することもありますが、より直接的に命を脅かす不整脈としては「心室頻拍(VT)」や「心室細動(VF)」が急性期の重篤な合併症の代表です。
選択肢3(心房中隔穿孔)× → 〇 心室中隔穿孔: AMIで壁が抜けるのは「心室」の中隔です。心室中隔穿孔(VSP)は重篤な合併症ですが、問題文の「心房」中隔穿孔は通常AMIの直接的な合併症とは言いません。
選択肢4(肺血栓塞栓症): 長期の臥床などにより下肢静脈に血栓ができることはありますが、AMIの「急性期」に直接心臓の筋肉から生じる構造的破壊ではありません。
選択肢5(大動脈弁閉鎖不全)× → 〇 僧帽弁閉鎖不全: AMIで乳頭筋が断裂したり機能不全を起こしたりして生じるのは、僧帽弁閉鎖不全(MR)です。大動脈弁は左心室の出口にあり、心筋梗塞による構造破壊の主な対象ではありません。
3. AMI急性期の3大「構造的」合併症
救急救命士が意識すべき、心筋の壊死(軟化)に伴う合併症は以下の3つです。
心室自由壁破裂(→心タンポナーデ、突然死)
心室中隔穿孔(→左右の短絡、急激な右心不全)
乳頭筋断裂(→急性僧帽弁閉鎖不全、劇症型肺水腫)
救急救命士としての臨床的視点
心筋梗塞の傷病者を搬送している際、あるいは初診から数日経過した後に以下のような変化が見られた場合、これらの重篤な合併症を疑います。
急激な血圧低下と頸静脈の怒張: 心破裂による心タンポナーデを疑います。
新たな心雑音(収縮期雑音)の出現: 心室中隔穿孔や乳頭筋断裂による僧帽弁逆流を疑います。
急激な呼吸困難とピンク色の泡沫状痰: 急性僧帽弁閉鎖不全による急性心不全(肺水腫)を疑います。
これらが発生した場合、現場での処置には限界があり、緊急手術(心臓血管外科)が可能な施設への一刻も早い転送が、唯一の救命手段となります。
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