2025年12月24日水曜日

第48回A問題 第74問「気管支喘息発作の重症度分類」について

  第48回救急救命士国家試験A問題はこちら

74 喘息発作の重症度で、「苦しくて横になれないが、かろうじて歩ける状態」はどれか。1つ選べ。

1 軽度

2 中等度

3 高度

4 重篤

5 瀕死


解答 2


【AIにょる解説】


第74問「気管支喘息発作の重症度分類」について、臨床症状に基づいた判定基準を詳しく解説します。


簡易解説

正解は2です。

気管支喘息の発作強度は、身体活動の制限や呼吸状態によって「小発作(軽症)」「中発作(中等症)」「大発作(重症)」「重篤」の4段階(ガイドラインによる)に分類されます。「苦しくて横になれない(起坐呼吸)」が出現し始める一方で、「かろうじて歩ける」という身体能力が維持されている状態は、中等度(中発作)の典型的な指標です。


詳細解説

救急現場において、喘息患者が「どの程度危ないのか」を瞬時に判断することは、酸素投与の開始や搬送速度を決定する上で極めて重要です。

1. 正解の根拠:中等度(中発作)の臨床像

喘息発作が進行すると、仰向けに寝ると横隔膜が上がり、呼吸がさらに苦しくなるため、座った姿勢で呼吸をしようとする「起坐呼吸(きざこきゅう)」が見られるようになります。

  • 動作の限界: 中等度では、歩行や会話に支障が出始めますが、まだ動作が不可能なレベルではありません。

  • 呼吸音: 呼気時(吐く時)にはっきりと喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)が聞こえます。

2. 他の重症度との比較(判定のポイント)

重症度(発作強度)身体活動・姿勢の目安喘鳴・呼吸状態
1. 軽度(小発作)歩行や会話は普通にできる。横になれる。呼気時に少し音がする程度。
2. 中等度(中発作)苦しくて横になれない(起坐呼吸)。 かろうじて歩ける。はっきりした喘鳴。陥没呼吸が少し見られる。
3. 高度(大発作)歩くことができない。 短い単語しか話せない。著明な喘鳴。呼吸副筋の使用(肩呼吸)。
4. 重篤意識が朦朧とする。呼吸音が消失する。サイレントチェスト(胸が静かになる)。

3. 「重篤(サイレントチェスト)」の罠

最も警戒すべきは、呼吸困難が極限に達した「重篤」な状態です。

気道が狭まりすぎて空気の出入りがほとんどなくなると、あんなに聞こえていた「ゼーゼー」という音が逆に聞こえなくなります。これをサイレントチェストと呼びます。

「音がしなくなったから良くなった」と誤診すると、そのまま呼吸停止・心停止(死戦期)に至るため、救急救命士にとって最大のレッドフラッグとなります。

4. 救急救命士としての現場マネジメント

喘息発作の傷病者に接触した際は、以下のステップで評価します。

  1. 姿勢を確認: 臥位が可能か、起坐呼吸か。

  2. 会話を確認: 文章で話せるか、単語だけか(一語発語:Single word speechは高度以上のサイン)。

  3. 意識と$SpO_2$を確認: 90%を下回る、あるいは不穏(あばれる)が見られる場合は高度〜重篤と判断。

  4. 処置: 起坐位を維持したまま、高濃度酸素を投与し、速やかに搬送します。

このように、「横になれるか」「歩けるか」「話せるか」という3つのポイントを押さえるだけで、喘息の重症度は迅速かつ正確に評価できるようになります。


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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。