75 生後2か月の乳児について正しいのはどれか。1つ選べ。
1 腹式呼吸である。
2 体温は成人より低い。
3 腎機能は成人と同等である。
4 他の小児期よりもウイルス感染が多い。
5 成人と比べて口腔容積に対する舌の割合が小さい。
解答 1
【AIによる解説】
第75問「乳児(生後2か月)の解剖生理学的特徴」について、成人と比較した際の特異性に注目して解説します。
簡易解説
正解は1です。
乳児は肋間筋などの呼吸筋が未発達であり、胸郭も水平で広がりにくいため、主に横隔膜の上下運動に頼る腹式呼吸を行っています。外観上、呼吸に合わせてお腹が大きく膨らんだり凹んだりするのが特徴です。
詳細解説
乳児(特に生後間もない時期)は、単に「大人のミニチュア」ではなく、独自の解剖学的・生理学的特徴を持っています。救急現場での評価において、これらを知っておくことは病態の緊急度を正しく判断するために不可欠です。
1. 正解の根拠:呼吸のメカニズム
乳児の胸郭は円筒状で、肋骨が水平に走っているため、大人ほど胸を広げて空気を吸い込む(胸式呼吸)ことができません。そのため、呼吸のほとんどを横隔膜の運動に依存する腹式呼吸となります。
臨床的視点: 呼吸が苦しくなると、お腹を必死に動かすだけでなく、肋骨の間や胸骨の上が凹む「陥没呼吸」が現れやすくなります。
2. 他の選択肢の分析(乳児の特徴)
選択肢2(体温): 乳児は代謝が盛んであり、体温調節機能も未熟なため、成人よりも体温が高め(36.5〜37.5℃程度)に維持されるのが一般的です。
選択肢3(腎機能): 乳児の腎機能は未発達であり、成人のレベルに達するのは1〜2歳頃です。尿を濃縮する能力が低いため、脱水に陥りやすく、かつ薬剤の排泄にも時間がかかります。
選択肢4(感染症): 生後数か月間は、母体からの移行抗体(免疫)があるため、一部のウイルス感染(麻疹など)に対しては逆に守られている時期です。移行抗体が消失し、自身の免疫系が発達途上となる「乳児期後半(6か月〜)」以降の方が、初感染の機会が増える傾向にあります。
選択肢5(口腔と舌): 乳児は成人と比べて、口腔容積に対する舌の割合が非常に大きいのが特徴です。そのため、意識障害などで筋肉が緩むと、大きな舌が喉に落ち込み(舌根沈下)、気道閉塞を起こしやすいというリスクがあります。
3. 乳児のバイタルサイン(成人との比較)
| 項目 | 乳児(生後2か月) | 成人 |
| 呼吸数 | 30〜60回/分(多い) | 12〜20回/分 |
| 心拍数 | 100〜160回/分(早い) | 60〜100回/分 |
| 血圧 | 収縮期 70〜90mmHg(低い) | 収縮期 110〜130mmHg |
救急救命士としての臨床的視点:乳児の気道管理
解剖学的な特徴から、乳児の救急対応では以下の点に注意します。
鼻呼吸への依存: 乳児は生後数か月まで「強制的鼻呼吸(Obligate nasal breather)」です。風邪などで鼻が詰まるだけで、大人よりも深刻な呼吸困難に陥ることがあります。
頭位の保持: 乳児は後頭部が大きく突出しているため、仰向けに寝かせると顎が引けてしまい(屈曲)、気道が塞がりやすくなります。肩の下に薄いタオルを敷いて「スニッフィング・ポジション」を保つ工夫が重要です。
このように、乳児特有の「お腹で息をする」「舌が大きく喉が狭い」といった特徴を理解することで、より安全な気道確保と適切な評価が可能になります。
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