78 ジュース類の多飲により生じる病態で認められる所見はどれか。1つ選べ。
1 片麻痺
2 低血糖
3 粘液水腫
4 アセトン臭
5 満月様顔貌
解答 4
【AIによる解説】
第78問「清涼飲料水ケトアシドーシス(ペットボトル症候群)」の病態と身体所見について解説します。
簡易解説
正解は4です。
糖分を多く含むジュース類を大量に飲み続けると、急激な高血糖からインスリンの働きが追いつかなくなり、エネルギー源として脂肪が分解され始めます。この過程で生成される「ケトン体」の一つであるアセトンが呼気中に排出されるため、リンゴの腐敗臭のようなアセトン臭が認められます。これは糖尿病性ケトアシドーシスの典型的な所見です。
詳細解説
この病態は、若年者を中心に清涼飲料水の過剰摂取をきっかけに発症することから「ペットボトル症候群」とも呼ばれます。
1. 正解の根拠:アセトン臭のメカニズム
高血糖とインスリン不足: 大量の糖分摂取により血糖値が急上昇しますが、相対的にインスリンが不足し、細胞がブドウ糖を利用できなくなります。
脂肪の分解: 体は代わりのエネルギー源として脂肪を激しく分解します。
ケトン体の蓄積: 脂肪代謝の副産物として「ケトン体(アセト酢酸、$\beta$-ヒドロキシ酪酸、アセトン)」が血液中に増え、血液が酸性に傾きます(ケトアシドーシス)。
呼気への排出: ケトン体の一種であるアセトンは揮発性が高いため、吐く息に混じり、独特の甘酸っぱい臭い(アセトン臭)を放ちます。
2. 他の選択肢の分析
選択肢1(片麻痺): 脳血管障害(脳梗塞や脳出血)などで見られる所見です。高血糖では意識障害や全身の脱力は起こりますが、通常は左右どちらか一方だけの麻痺(局所神経症状)は呈しません。
選択肢2(低血糖): ジュースの多飲で起こるのは「高血糖」です。低血糖は糖尿病薬の過剰投与や不適切な食事制限などで起こり、冷や汗や震えが特徴です。
選択肢3(粘液水腫): 甲状腺機能低下症の重症例で見られる、顔や手足のむくみ(圧痕を残さない浮腫)のことです。
選択肢5(満月様顔貌): クッシング症候群やステロイド薬の長期副作用で見られる、顔が丸く腫れ上がる所見(ムーンフェイス)です。
3. ペットボトル症候群の随伴症状
救急現場では、アセトン臭以外にも以下の所見を合わせて確認します。
多尿・口渇: 高血糖による浸透圧利尿で尿が増え、激しく喉が渇きます。そのためさらにジュースを飲むという悪循環に陥ります。
クスマウル呼吸: 血液の酸化(アシドーシス)を補正するために、深く大きな呼吸を繰り返します。
著明な脱水: 皮膚の乾燥や眼球陥没が認められます。
救急救命士としての臨床的視点
現場で意識障害や倦怠感を訴える若年者に遭遇した際、周囲に空のペットボトルが散乱していないか、呼気に独特の臭いがないかを確認することは、病態把握の大きなヒントになります。
また、この病態は著明な高血糖と高度の脱水を伴っているため、搬送中も意識レベルの変化やバイタルサインの悪化に細心の注意を払い、医療機関到着後は速やかな輸液とインスリン管理が必要であることを認識しておく必要があります。
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