84 高齢者に多くみられる骨折はどれか。1つ選べ。
1 鎖骨骨折
2 眼窩底骨折
3 舟状骨骨折
4 脊椎圧迫骨折
5 大腿骨遠位端骨折
解答 4
【AIによる解説】
第84問は、高齢者の外傷において最も頻度が高く、生活の質(QOL)に直結する骨折に関する問題です。高齢者は骨粗鬆症によって骨密度が低下しているため、軽い転倒やしりもち、時には自重だけでも骨折を起こしやすいという特徴があります。
解説:高齢者の四大骨折と脊椎圧迫骨折
正解は4です。
脊椎圧迫骨折は、背骨(脊椎)の本体である椎体が、上下方向からの圧力によって押しつぶされるように折れるものです。
特徴: 骨粗鬆症が基盤にある高齢者に極めて多く見られます。しりもちをつくといった明らかな外傷だけでなく、重いものを持ったり、くしゃみをしたり、あるいはいつの間にか折れている(無症候性)こともあります。
症状: 背部や腰部の激しい痛み(体動時痛)が主ですが、神経を圧迫すると下肢のしびれや麻痺を伴うこともあります。複数の箇所で連鎖的に起こると、背中が丸くなり(円背)、内臓を圧迫して食欲低下や呼吸機能の低下を招くこともあります。
他の選択肢の分析(発生しやすい層の違い)
1 鎖骨骨折:
全年齢層で見られますが、特にコンタクトスポーツでの転倒や自転車の落車など、肩から地面に落ちることで発症することが多く、若年層や活動性の高い層に目立ちます。
2 眼窩底骨折(吹き抜け骨折):
顔面(眼球付近)に野球のボールや拳などが当たった際に、眼圧が急上昇して眼窩の底の薄い骨が抜けるように折れるものです。高齢者の転倒でも起こり得ますが、高齢者に「多い」代表格ではありません。
3 舟状骨骨折:
手首にある小さな骨の骨折です。スポーツや事故で手を強くついた際に起こりやすく、若〜壮年層に多いのが特徴です。血流が悪いため、難治性になりやすい骨折として知られています。
5 大腿骨遠位端骨折:
大腿骨の「膝に近い側」の骨折です。高齢者の大腿骨骨折で圧倒的に多いのは、足の付け根にあたる大腿骨近位部骨折(頸部骨折や転子部骨折)です。「遠位端」は頻度としてはそれほど高くありません。
救急救命士としての臨床的視点:高齢者の四大骨折
高齢者が転倒した際、救急救命士が必ず念頭に置くべき「四大骨折」があります。
脊椎圧迫骨折: 腰や背中の痛み。
大腿骨近位部骨折: 股関節の痛み、下肢の短縮や外旋。
橈骨遠位端骨折(コーレス骨折など): 手をついて転んだ際の手首の痛み。
上腕骨近位部骨折: 肩の付け根の痛み。
現場で高齢の傷病者が「腰が痛い」と訴えている場合、たとえ歩けていたとしても脊椎圧迫骨折の可能性を否定せず、無理な動作をさせないように愛護的な固定・搬送を行うことが重要です。また、こうした骨折をきっかけに寝たきりになるリスクが高いため、早期の診断とリハビリへの橋渡しが救急医療の現場でも意識されます。
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