85 心房細動について正しいのはどれか。1つ選べ。
1 若年者に頻発する。
2 脈拍は規則的である。
3 デルタ波を特徴とする。
4 脳塞栓症の原因となる。
5 脈拍は100/分を超えない。
解答 4
【AIによる解説】
第85問は、臨床現場で非常に遭遇頻度が高い不整脈である心房細動(AF)の病態と合併症に関する問題です。心房細動そのものよりも、それによって引き起こされる重大な二次的疾患を理解することが、救急医療においては極めて重要です。
解説:心房細動と脳塞栓症
正解は4です。
心房細動は、心房が規則正しく収縮できず、細かく震えているような状態(細動)になる不整脈です。
病態と合併症: 心房が正しく収縮しないと、心房内(特に左心耳という部分)で血液がよどみ、血の塊である血栓ができやすくなります。
脳塞栓症: 心房内でできた血栓が剥がれて血流に乗り、脳の太い血管に詰まると脳塞栓症(心原性脳塞栓症)を引き起こします。これは通常の脳梗塞よりも範囲が広く重症化しやすいため、非常に警戒すべき病態です。
他の選択肢の分析(誤っている記述)
1 若年者に頻発する:
心房細動は加齢とともに増加する不整脈であり、主に高齢者に多く見られます。高血圧、糖尿病、心不全などの基礎疾患がある人に発症しやすい傾向があります。
2 脈拍は規則的である:
心房細動の最大の特徴は「絶対的不整(脈の脱落ではなく、リズムそのものが完全にバラバラ)」です。触診をすると、脈の強さや間隔が一定でないことがはっきりと分かります。
3 デルタ波を特徴とする:
デルタ波(QRS波の立ち上がりが緩やかになる所見)は、WPW症候群に特有の心電図所見です。心房細動の心電図上の特徴は、P波が消失し、基線が細かく震える「f波」が見られることです。
5 脈拍は100/分を超えない:
心房細動では、心房から心室へ電気信号が不規則かつ頻繁に伝わるため、頻脈(100/分以上)になることが多々あります。これを「頻脈性心房細動」と呼び、動悸や心不全悪化の原因となります。
救急救命士としての臨床的視点
現場で「ドキドキする(動悸)」あるいは「なんとなく元気がない」と訴える高齢者に接触した際、以下の手順で心房細動を疑います。
橈骨動脈の触診: 指を当てた際、リズムが完全に不規則(バラバラ)であれば、まず心房細動を疑います。
心電図モニター: P波があるか、QRSの間隔(RR間隔)が一定でないかを確認します。
神経学的評価: 心房細動がある傷病者は常に脳塞栓症のリスクを抱えています。突然の言語障害や片麻痺がないか、FAST(顔・腕・言葉)スケールを用いて迅速に評価することが重要です。
もし心房細動に伴う脳塞栓症が疑われる場合は、血栓回収療法などの高度な処置が可能な医療機関へ「発症時刻」とともに緊急搬送する必要があります。
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