2025年12月24日水曜日

第48回A問題 第86問 ストレスと循環器疾患の関連性についての問題

第48回救急救命士国家試験A問題はこちら

86 精神的ストレスが発症に大きく関与するのはどれか。1つ選べ。

1 心筋炎

2 冠動脈攣縮

3 急性心膜炎

4 WPW症候群

5 房室ブロック


解答 2


【AIによる解説】


第86問は、ストレスと循環器疾患の関連性についての問題です。心臓の疾患の中には、構造的な異常だけでなく、自律神経の乱れが引き起こす機能的な異常が原因となるものがあります。


解説:冠動脈攣縮(冠攣縮性狭心症)とストレス

正解は2です。

冠動脈攣縮(かんどうみゃく・れんしゅく)は、心臓に酸素や栄養を運ぶ「冠動脈」という血管が、一時的に痙攣(けいれん)を起こして細くなってしまう状態です。

  • 病態: 血管が強く収縮するため、血流が一時的に途絶え、激しい胸痛を引き起こします。これを「冠攣縮性狭心症」と呼びます。

  • ストレスとの関与: 血管の収縮は自律神経(交感神経)によってコントロールされています。過度な精神的ストレス、疲労、睡眠不足などは自律神経を過度に緊張させ、血管の痙攣を引き起こす直接的な誘因となります。

  • 特徴: 動脈硬化が原因の一般的な狭心症とは異なり、運動中よりも、深夜から早朝の安静時に発症しやすいのが大きな特徴です。また、喫煙や飲酒も発症に強く関与します。


他の選択肢の分析(発症機序の違い)

  • 1 心筋炎:

    主にウイルス感染が原因で、心臓の筋肉に炎症が起こる疾患です。風邪のような症状の後に発症することが多く、ストレスが直接の主原因ではありません。

  • 3 急性心膜炎:

    心臓を包む「心膜」に炎症が起こるもので、原因の多くはウイルス感染や結核、自己免疫疾患などです。

  • 4 WPW症候群:

    生まれつき心房と心室の間に「ケント束」という余計な電気の通り道がある先天的な伝導路の異常です。

  • 5 房室ブロック:

    心房から心室へ電気信号がうまく伝わらなくなる状態で、主な原因は加齢による伝導系の変性、心筋梗塞、薬剤の影響などです。


救急救命士としての臨床的視点

現場で「胸が痛い」と訴える傷病者に接触した際、冠動脈攣縮を疑うポイントは以下の通りです。

  1. 発症の時間帯: 「明け方に寝ていたら急に苦しくなった」という訴えは、この疾患を強く示唆します。

  2. 心電図の変化: 発作中にはST上昇が認められることがあり、一見すると心筋梗塞のように見えますが、血管の痙攣が収まると心電図も元に戻るのが特徴です。

  3. 背景: 近日の極度な労働、精神的なショック、過量な喫煙などのエピソードがないかを確認します。

日本人は欧米人に比べてこの「冠動脈の痙攣」を起こしやすい人種であると言われています。重症な場合は致死的不整脈(心室細動など)に移行して突然死の原因にもなるため、発作が治まっていても速やかに循環器専門医のいる医療機関へ搬送する必要があります。

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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。