2026年1月12日月曜日

第47回D問題 問23 観察所見:意識清明。呼吸数28/分。脈拍114/分、不整。血圧112/62mmHg。Sp02値91%。僧帽弁狭窄症、心房細動で治療を受けているという。  この傷病者に観察される所見はどれか。

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23 68歳の女性。咳込んだ後、泡沫状の血を吐いたため、家族が救急要請した。

 救急隊到着時観察所見:意識清明。呼吸数28/分。脈拍114/分、不整。血圧112/62mmHg。Sp02値91%。僧帽弁狭窄症、心房細動で治療を受けているという。

 この傷病者に観察される所見はどれか。1つ選べ。

1 眼球突出

2 皮下気腫

3 頸静脈怒張

4 クモ状血管腫

5 クスマウル呼吸


解答 3


解答:3 頸静脈怒張


各選択肢の解説

  • 選択肢 1:眼球突出(誤り) 眼球突出は、主にバセドウ病(甲状腺機能亢進症)で見られる特徴的な症候です。心不全の循環動態とは直接関係ありません。

  • 選択肢 2:皮下気腫(誤り) 皮下気腫は、気胸や縦隔気腫、気道損傷などによって空気が皮下組織に漏れ出した際に見られる所見です。本症例のような心原性の血痰(泡沫状血痰)とは機序が異なります。

  • 選択肢 3:頸静脈怒張(正解) 僧帽弁狭窄症では、左房から左室へ血が流れにくくなり、左房圧が上昇します。これが肺静脈を経て右心系まで波及すると、右不全(静脈系のうっ血)を引き起こし、頸静脈怒張として現れます。「泡沫状の血(肺水腫)」と「脈拍不整(心房細動)」の合併もこの病態を強く支持します。

  • 選択肢 4:クモ状血管腫(誤り) クモ状血管腫は、肝硬変などの慢性肝疾患において、エストロゲンの代謝不全によって生じる皮膚所見です。

  • 選択肢 5:クスマウル呼吸(誤り) クスマウル呼吸は、糖尿病性ケトアシドーシスや尿毒症など、重度の代謝性アシドーシスを代償しようとする「深く大きな呼吸」のことです。本症例の呼吸数28/分は、肺水腫による換気障害(頻呼吸)と考えられます。


現場活動のポイント

「泡沫状血痰」は肺水腫の決定的サインです。基礎疾患に「僧帽弁狭窄症」がある場合、肺のうっ血から右心不全へ進展しやすく、全身の静脈圧が上昇するため、頸静脈の観察は非常に重要です。搬送時は高流量酸素投与とともに、起坐位をとらせて心臓への還流血量を軽減させる処置が有効です。

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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。