25 PAT法による二次トリアージの解剖学的評価で、赤(区分I)に分類される傷病者はどれか。1つ選べ。
1 頭皮の挫創
2 右上腕の変形
3 両側前腕の切創
4 両側大腿の変形
5 右足関節の開放骨折
解答 4 11版P.233
【オリジナル解説】
正解は 4 両側大腿の変形 です。
PAT法(Physiological and Anatomical Triage)は、生理学的評価と解剖学的評価を組み合わせて、特に**「防ぎ得た外傷死(PTD)」**を回避するためのトリアージ手法です。
各選択肢の解説
1 頭皮の挫創(緑/区分III) 頭皮は出血しやすい部位ですが、挫創(すり傷や浅い切り傷)のみであれば、直ちに生命の危険がある解剖学的異常とはみなされません。
2 右上腕の変形(黄色/区分II) 単一の上腕骨骨折(変形)は、解剖学的評価では黄色(急ぎではあるが直ちに生命に関わらない)に分類されます。
3 両側前腕の切創(緑/区分III) 前腕の切創も、動脈性の噴出性出血を伴わない限りは、緑あるいは黄色にとどまります。
4 両側大腿の変形(赤/区分I:正解) 大腿骨は体内でも最大の骨であり、周囲には太い動脈が走っています。大腿骨骨折(変形)は1箇所につき500〜1,000ml以上の出血を伴う可能性があり、**「両側」**となると容易に致死的な出血性ショック(自己血輸血の限界を超える)を招くため、解剖学的評価で「赤」と判定されます。
5 右足関節の開放骨折(黄色/区分II) 開放骨折は感染症リスクや組織損傷の観点から優先度は高いですが、足関節(足首)付近の損傷であれば、大腿骨のような大量出血のリスクは低いため、通常は黄色に分類されます。
PAT法における「解剖学的評価」の重要ポイント
生理学的評価(バイタルサイン)が安定していても、以下の解剖学的所見がある場合は**無条件で「赤」**となります。
体幹(頭部・頸部・胸部・腹部・骨盤)の貫通傷
2本以上の長管骨(上腕・大腿)の骨折
体幹部・大腿部の圧挫症候群(クラッシュ症候群)
手関節・足関節より近位の切断
不安定骨盤骨折
救急現場では「今はバイタルが安定している(生理学的に白に近い)」としても、両側大腿変形のような「解剖学的に重篤な損傷」がある場合は、急変するリスクが極めて高いと判断して赤トリアージを行うことが重要です。
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