42 異物による気道閉塞で意識がない傷病者への対応手順について正しいのはどれか。1つ選べ。
1 背部叩打を行う。
2 胸骨圧迫を開始する。
3 腹部突き上げを行う。
4 胸部突き上げを行う。
5 指で盲目的に掻き出す。
解答 2 11版P.350
【救命士王からの解説】
1・3・4は意識ある場合の異物除去の方法であり間違えである。
5については、「盲目的に」が間違いである。異物が目視できれば指拭法(ししょくほう)で異物除去する。
2の胸骨圧迫については、総頚動脈の触知の有無など記載されていないため、いきなり心マ?と思うかもしれないが、他は明らかに間違えであるため解答は2となる。
実際の現場では、事前情報に窒息によるCPAという場合には、必ずBVM換気の前に喉頭鏡を使用して口腔内をか確認すること。異物が口腔内にあったまま換気すると異物を気道に押し込んでしまう。最初に声門を確認してBVM換気に抵抗があっても最初から異物が気道に入っていかことが分かる。
【AIによる回答・参考程度に】
正解は2です。 気道閉塞の傷病者が「意識なし」と判断された場合、直ちに心肺蘇生法(CPR)の手順に従い、胸骨圧迫を開始します。 選択肢1・3・4(背部叩打、腹部・胸部突き上げ)は意識がある傷病者向けの手技であり、意識消失後は循環の維持と効率的な異物排出のために胸骨圧迫が優先されます。特に3の腹部突き上げは、意識がない状態では内臓損傷のリスクが高まります。5の盲目的な掻き出しは、異物を奥へ押し込む危険があるため禁忌です。
詳細解説
気道異物除去(FBAO)のアルゴリズムにおいて、最も重要な分岐点は「傷病者の反応(意識)の有無」です。現場の救急救命士は、傷病者が意識を失った瞬間に、処置の目的を「異物の物理的な除去」から「全身の循環維持および胸腔内圧を利用した異物排出」へと切り替える必要があります。
1. 意識なし=直ちに胸骨圧迫を開始する理由
JRC蘇生ガイドラインにおいて、窒息による意識障害は心停止の前兆、あるいは既に心停止に至っている状態とみなされます。ここで胸骨圧迫を選択する理由は、脳血流を維持することに加え、胸骨圧迫が腹部突き上げ法(ハイムリック法)と同等、あるいはそれ以上の高い胸腔内圧を生み出せる点にあります。この圧力が「内側からの空気の突き上げ」となり、異物を口腔内へ移動させる効果を期待できるため、意識がない場合には最も安全で効率的な手段となります。
2. 各選択肢が誤りである根拠とリスク
選択肢1・3・4(背部叩打・突き上げ法): これらは傷病者の協力(姿勢の維持など)が得られる「意識あり」の状態で行うべき手技です。意識がない、あるいは筋弛緩が始まった傷病者にこれらを継続すると、有効な胸骨圧迫が遅れるだけでなく、特に腹部突き上げ法では肝臓や脾臓といった腹腔内臓器を損傷させるリスクが飛躍的に高まります。
選択肢5(盲目的指掃過): 口腔内を直視せずに指を入れて異物を探る行為は、現代の救急医学では厳禁とされています。異物を喉頭蓋の裏や声門付近などのさらに危険な部位へ押し込み、不完全閉塞を完全閉塞へと悪化させる恐れがあるためです。また、傷病者の不随意な噛み締めによって救助者が負傷する危険(感染症リスク)も伴います。
3. 救急救命士としての臨床的対応
実際の活動では、胸骨圧迫を30回行うごとに口腔内を確認し、異物が「目に見える場合のみ」指で取り除きます(直接法)。異物が見えない場合は、無理に指を入れずに人工呼吸を試みます。たとえ送気が入らなくても、胸骨圧迫を絶え間なく継続することで異物が上方に移動するのを待ち、喉頭鏡を用いたマギール鉗子による高度な気道管理へと繋げることが、救命率向上のための鉄則となります。
このように、意識の有無によって「手技の安全性」と「生理学的な優先順位」が劇的に変化することを深く理解しておくことが重要です。
0 件のコメント:
コメントを投稿