2026年1月4日日曜日

第48回A問題 問43 「緊急度・重症度判断の目的」について

 第48回救急救命士国家試験A問題はこちら

43 救急救命士による緊急度・重症度判断の目的として正しいのはどれか。1つ選べ。

1 病院選定を適切に行うため。

2 傷病者の家族に説明するため。

3 傷病者の予後を予測するため。

4 救急現場の安全を確保するため。

5 院内での治療方針を決定するため。


解答 1 11版P.330


【救命士王からの解説】

 緊急度・重症度の判断は、①状況評価②初期評価③情報・バイタルサイン④全身観察・重点観察から判断し、判断に応じて救急救命センター、2次医療機関など医療機関を選定するためにある。

 総務省消防庁により、緊急度判定プロトコルが示されている。

 PEMEC(疾病(内因性)傷病者に対する病院前救護のコース)では、総務省消防庁の緊急度判定プロトコルをもとに、各主訴に応じた活動を学ぶことができる。

 私もPEMECのマスターインストラクターとしての活動を通じ、テキストだけでは学ぶことができない実際の救急隊の活動を経験することができ、PEMECは非常に良い学びの場であると感じている。

 二次医療機関しか搬送しないような地域においても、救急度を判断することで隊としてヤバイスイッチを遅れることなく入れることができ、救命につながると思う。


緊急度判定プロトコルについてはこちら


PEMECについてはこちら



【AIによる解説】

簡易解説

正解は1です。 救急現場における緊急度・重症度判断(トリアージを含む判断)の最大の目的は、傷病者の状態に応じた「最適な医療機関を迅速に選定すること」です。これにより、限られた救急医療資源を効率的に運用し、救命率の向上を図ります。他の選択肢は、救急現場の副次的な活動や医療機関到着後の業務であり、救急救命士が行う現場判断の主目的とは異なります。


詳細解説

救急現場における「緊急度・重症度判断」は、救急救命士の活動の根幹をなす意思決定プロセスです。現場に到着した救命士は、生理学的指標(バイタルサイン)、解剖学的指標(受傷部位)、および受傷機転などから、その傷病者が「今、何を必要としているか」を瞬時に見極める必要があります。

1. 病院選定の最適化(正解の根拠)

救急医療体制は、初期救急、二次救急、三次救急(救命救急センター)といった階層構造になっています。例えば、一分一秒を争う重症外傷や急性心筋梗塞の傷病者を、専門外の病院や処置能力の低い医療機関へ搬送してしまうと、転送による「回避可能な死(Preventable Trauma Deathなど)」を招くリスクが高まります。 救命士が適切に緊急度・重症度を判断することで、「高次医療機関へ搬送すべき重症者」と「地域の医療機関で対応可能な軽症・中等症者」を正しく振り分けることが可能となり、結果として地域全体の救急医療のパンクを防ぎ、個々の救命率を最大化することができます。

2. 各選択肢の分析と誤り

  • 選択肢2(家族への説明): 状況の説明は現場活動において不可欠な対人スキルですが、緊急度判断の「目的」そのものではありません。判断の結果として説明が行われるのであり、目的と手段が逆転しています。

  • 選択肢3(予後の予測): 予後(病気の経過や結末)の予測は医師による診断や統計的判断に基づくものであり、救急現場での「今、助けるための判断」とは時間軸が異なります。救急現場では「今の重症度」に基づき行動します。

  • 選択肢4(現場の安全確保): 安全確保は現場到着時に真っ先に行うべき「自己防衛」のステップであり、傷病者の状態を評価する前段階の活動です。

  • 選択肢5(院内での治療方針の決定): 最終的な治療方針(手術の術式や投薬内容など)を決定するのは医師の権限です。救命士の判断は、あくまで「その治療が受けられる場所まで安全に運ぶこと」に主眼が置かれています。

3. 救急救命士に求められる資質

救命士は、プレホスピタル(病院前救護)のプロフェッショナルとして、限られた情報の中で「オーバートリアージ(安全側に倒して重症と判定すること)」を許容しつつ、搬送先とのミスマッチを最小限に抑える役割を担っています。この判断能力こそが、単なる搬送員ではなく「医療従事者」としての救急救命士の専門性を象徴するものと言えます。

今後、高齢化社会に伴う救急需要の増大が予測される中で、適切な緊急度判断による「適切な搬送先の選定」は、救急医療システムの崩壊を防ぐための防波堤としての役割をますます強めていくことになります。






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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。