2026年1月4日日曜日

第48回B問題 第22問は、急性冠症候群(ACS)の典型的な症状に関する問題

  第48回救急救命士国家試験B問題はこちら

22 胸痛の傷病者で急性冠症候群を示唆する訴えはどれか。1つ選べ。

1 右胸部が鋭く痛む。

2 咳嗽によって増悪する。

3 前胸部が締め付けられる。

4 肋骨に沿ってピリピリする。

5 最強点が胸部から背部に移動した。


解答 3


【AIによる解説】


第22問は、急性冠症候群(ACS)の典型的な症状に関する問題です。緊急性の高い心疾患を見逃さないための、病歴聴取(アセスメント)のポイントが問われています。


解説:急性冠症候群(ACS)の随伴症状

正解は3(前胸部が締め付けられる)です。

急性冠症候群とは、不安定狭心症や急性心筋梗塞などを包括した概念で、冠動脈の血流が急激に悪化する病態です。

  • 3 前胸部が締め付けられる:

    心筋が酸素不足(虚血)に陥った際の痛みは、鋭い痛みよりも「締め付けられる(絞扼感)」「圧迫される(圧重感)」「象に踏まれているような」と表現される重苦しい鈍痛が特徴です。場所は胸骨の後ろや前胸部全体など、範囲がはっきりしない広い範囲に及ぶことが多いです。


他の選択肢の分析(他の疾患を示唆する症状)

  • 1 右胸部が鋭く痛む:

    心臓は左側に寄っているため、右側の鋭い痛みは気胸や胸膜炎など、肺や胸膜の疾患を疑わせます。

  • 2 咳嗽(がいそう)によって増悪する:

    咳や深呼吸で痛みが強くなるのは、胸膜炎や心膜炎、あるいは肋骨骨折などの特徴です。

  • 4 肋骨に沿ってピリピリする:

    肋骨に沿った局所的なピリピリとした痛みは、肋間神経痛や帯状疱疹を強く示唆します。

  • 5 最強点が胸部から背部に移動した:

    痛みが「移動する」「突き抜ける」のは急性大動脈解離の典型的な症状です。心筋梗塞でも背中に放散痛が出ることがありますが、痛みの中心が移動していく場合は解離を第一に疑います。


救急救命士としての臨床的視点:PQRST評価

胸痛の評価には「PQRST」のフレームワークが有効です。

  • P (Provocation/Palliative): 何をすると痛むか?(歩くと痛い=狭心症、安静でも痛い=心筋梗塞)

  • Q (Quality): どのような痛みか?(ACSは「絞扼感」

  • R (Region/Radiation): どこが痛むか? 放散痛はあるか?(左肩、顎、左腕への放散はACSに特徴的)

  • S (Severity): どのくらい痛いか?(10段階評価など)

  • T (Time): いつからか? 持続時間は?(数分で消える=安定狭心症、20分以上続く=心筋梗塞を疑う)

現場でのポイント:

高齢者や糖尿病患者では、典型的な「胸の痛み」を訴えず、「なんとなく苦しい」「冷や汗が出る」「吐き気がする」といった非典型的な症状(無痛性心筋梗塞)として現れることがあります。少しでもACSが疑われれば、直ちに12誘導心電図を測定する判断が求められます。


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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。