22 胸痛の傷病者で急性冠症候群を示唆する訴えはどれか。1つ選べ。
1 右胸部が鋭く痛む。
2 咳嗽によって増悪する。
3 前胸部が締め付けられる。
4 肋骨に沿ってピリピリする。
5 最強点が胸部から背部に移動した。
解答 3
【AIによる解説】
第22問は、急性冠症候群(ACS)の典型的な症状に関する問題です。緊急性の高い心疾患を見逃さないための、病歴聴取(アセスメント)のポイントが問われています。
解説:急性冠症候群(ACS)の随伴症状
正解は3(前胸部が締め付けられる)です。
急性冠症候群とは、不安定狭心症や急性心筋梗塞などを包括した概念で、冠動脈の血流が急激に悪化する病態です。
3 前胸部が締め付けられる:
心筋が酸素不足(虚血)に陥った際の痛みは、鋭い痛みよりも「締め付けられる(絞扼感)」「圧迫される(圧重感)」「象に踏まれているような」と表現される重苦しい鈍痛が特徴です。場所は胸骨の後ろや前胸部全体など、範囲がはっきりしない広い範囲に及ぶことが多いです。
他の選択肢の分析(他の疾患を示唆する症状)
1 右胸部が鋭く痛む:
心臓は左側に寄っているため、右側の鋭い痛みは気胸や胸膜炎など、肺や胸膜の疾患を疑わせます。
2 咳嗽(がいそう)によって増悪する:
咳や深呼吸で痛みが強くなるのは、胸膜炎や心膜炎、あるいは肋骨骨折などの特徴です。
4 肋骨に沿ってピリピリする:
肋骨に沿った局所的なピリピリとした痛みは、肋間神経痛や帯状疱疹を強く示唆します。
5 最強点が胸部から背部に移動した:
痛みが「移動する」「突き抜ける」のは急性大動脈解離の典型的な症状です。心筋梗塞でも背中に放散痛が出ることがありますが、痛みの中心が移動していく場合は解離を第一に疑います。
救急救命士としての臨床的視点:PQRST評価
胸痛の評価には「PQRST」のフレームワークが有効です。
P (Provocation/Palliative): 何をすると痛むか?(歩くと痛い=狭心症、安静でも痛い=心筋梗塞)
Q (Quality): どのような痛みか?(ACSは「絞扼感」)
R (Region/Radiation): どこが痛むか? 放散痛はあるか?(左肩、顎、左腕への放散はACSに特徴的)
S (Severity): どのくらい痛いか?(10段階評価など)
T (Time): いつからか? 持続時間は?(数分で消える=安定狭心症、20分以上続く=心筋梗塞を疑う)
現場でのポイント:
高齢者や糖尿病患者では、典型的な「胸の痛み」を訴えず、「なんとなく苦しい」「冷や汗が出る」「吐き気がする」といった非典型的な症状(無痛性心筋梗塞)として現れることがあります。少しでもACSが疑われれば、直ちに12誘導心電図を測定する判断が求められます。
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