28 不安定型骨盤骨折が疑われる観察所見はどれか。1つ選べ。
1 下肢長差
2 腹部膨隆
3 腰部握雪感
4 下肢運動麻痺
5 腹部皮下出血
解答 1
【AIによる解説】
第28問は、外傷における骨盤骨折(特に不安定型)の身体所見に関する問題です。骨盤骨折は大量出血を伴いやすく、防ぎ得た外傷死(Preventable Trauma Death: PTD)に直結する非常に緊急性の高い外傷です。
解説:不安定型骨盤骨折のサイン
正解は1(下肢長差)です。
1 下肢長差:
不安定型骨盤骨折(タイル分類のタイプBやCなど)では、骨盤の環状構造が破壊され、骨盤の半分が頭側へずり上がったり(垂直方向の不安定性)、外側に開いたりします。
その結果、見た目上で「左右の足の長さが違う(下肢長差)」という所見が現れます。これは骨盤の構造的連続性が失われていることを示す重要な指標です。
他の選択肢の分析
2 腹部膨隆 / 5 腹部皮下出血:
これらは主に腹腔内臓器損傷(肝破裂や脾破裂など)を示唆する所見です。骨盤骨折に伴う後腹膜出血でもお腹が張ることはありますが、骨盤骨折そのものに特異的な観察所見としては1の方が優先されます。
3 腰部握雪感(あくせつかん):
皮膚の下に空気が溜まった「皮下気腫」で見られる感触(雪を握るような感覚)です。主に気胸や気管損傷、食道破裂などで見られます。
4 下肢運動麻痺:
主に脊髄損傷で見られる所見です。
救急救命士としての臨床的視点:骨盤骨折の「禁忌」と対応
現場で不安定型骨盤骨折を疑った際、以下の行動が救命の鍵となります。
骨盤の動揺性を確認しすぎない(骨盤の圧迫試験は1回だけ):
何度も骨盤を揺らして「動くかどうか」を確認すると、せっかく固まりかけた血栓(かさぶた)を剥がしてしまい、致命的な再出血を招きます。「下肢長差」や「会陰部の皮下出血」など、見た目のアセスメントを優先します。
骨盤固定具(サムスリングなど)の早期装着:
不安定型が疑われる、あるいはショックを伴う場合は、現場で速やかに骨盤を固定します。これにより骨盤の容積を減少させ、圧迫止血効果を期待します。
急速輸液と高次救急医療機関への選定:
骨盤骨折の出血は数リットルに及ぶことがあるため、太い静脈路を確保し、放射線塞栓術(IVR)や緊急手術が可能な病院へ一刻も早く搬送する必要があります。
まとめ:
「足の長さが違う(下肢長差) = 骨盤がバラバラになって浮き上がっているサイン」と結びつけて、骨盤骨折の緊急性を判断しましょう。
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