29 重症化するリスクが高いと判断する受傷機転はどれか。1つ選べ。
1 ベッドから転落した。
2 手指がドアに挟まれた。
3 バイクに乗る際に転倒した。
4 歩行中に自転車と接触した。
5 歩行中に乗用車に轢かれた。
解答 5
【AIによる解説】
第29問は、外傷における受傷機転(じゅしょうきてん)のアセスメントに関する問題です。
身体に加わったエネルギーの大きさを推測し、見た目以上に重症である可能性(高エネルギー外傷)を予見する能力が問われています。
解説:高エネルギー外傷と受傷機転
正解は5(歩行中に乗用車に轢かれた)です。
外傷の評価では、傷病者のバイタルサインが安定していても、受傷した状況(機転)から「潜在的な重症」を疑う必要があります。これを「高エネルギー受傷機転」と呼びます。
5 歩行中に乗用車に轢かれた:
生身の人間(歩行者)が、巨大な質量を持つ移動体(乗用車)に直接衝突し、さらに地面へ叩きつけられたり、車体の下に巻き込まれたりする状況は、身体に加わるエネルギーが極めて大きいため、内臓破裂や多発骨折などの重症化リスクが非常に高いと判断されます。
他の選択肢の分析
これらは一般的に「低〜中エネルギー受傷機転」に分類され、5に比べると全身的な重症化リスクは低いと考えられます(もちろん、高齢者や部位によっては注意が必要ですが、基準としては5が圧倒的です)。
1 ベッドから転落した:
通常、1m以下の転落は高エネルギーには分類されません(※乳幼児や高齢者を除く)。
2 手指がドアに挟まれた:
局所的な外傷(骨折や切創)に留まることが多く、生命に危険が及ぶ重症化リスクは低いです。
3 バイクに乗る際に転倒した:
走行中ではなく「乗る際(停車中など)」の転倒であれば、重力加速のみの影響であり、エネルギーは小さいと判断されます。
4 歩行中に自転車と接触した:
自転車の速度にもよりますが、乗用車との衝突に比べれば質量・速度ともに小さいため、リスクは相対的に低くなります。
救急救命士としての臨床的視点:現場で疑うべき「高エネルギー」の基準
「JPTEC(外傷病院前救護ガイドライン)」などでは、以下のような状況を「重症の可能性が高い機転」として挙げています。
転落:
成人:6メートル(または建物の2階)以上からの転落。
小児:3メートル(または身長の2〜3倍)以上。
交通事故(自動車):
車室内の同乗者の死亡。
車外への放出。
車体の大きな変形(30cm以上の陥没など)。
時速60km以上での衝突。
歩行者・自転車 vs 自動車:
時速30km以上での接触・撥ね飛ばし。
バイク(自動二輪):
時速30km以上での衝突や転倒。
現場でのポイント:
高エネルギー受傷機転に該当する場合、現場でどれだけ元気に見えても、搬送中に急変したり、後から内出血が判明したりすることがあります。そのため、「ロード&ゴー(現場滞在を最小限にして急いで搬送する)」の適応を検討し、高次救急医療機関(救命救急センター等)への選定を行うべきです。
まとめ:
「高エネルギー受傷機転 = 見た目に騙されず、加わった力の大きさを恐れる」という姿勢が救急活動には不可欠です。
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