30 特徴的な呼気臭を認める中毒物質はどれか。1つ選べ。
1 シアン
2 アスピリン
3 インスリン
4 ベンゾジアゼピン
5 アセトアミノフェン
解答 1
【AIによる解説】
第30問は、急性中毒における特異的な徴候(におい)に関する問題です。救急現場で原因物質を特定する際の重要なアセスメント項目である「呼気臭」の知識が問われています。
解説:中毒物質と呼気臭
正解は1(シアン)です。
1 シアン(青酸):
シアン化合物(青酸カリなど)を摂取、あるいは火災などでシアン化水素を吸入した場合、「アーモンド臭(銀杏のような臭い)」が呼気から感じられることが特徴です。
シアンは細胞の呼吸(ミトコンドリアの電子伝達系)を阻害し、極めて短時間で死に至らしめる猛毒です。
他の選択肢の分析
2 アスピリン:
大量摂取しても特有の呼気臭はありません。主な症状は、耳鳴り、過換気、代謝性アシドーシスなどです。
3 インスリン:
ホルモン剤(注射薬)であり、呼気臭には影響しません。低血糖を引き起こします。
4 ベンゾジアゼピン / 5 アセトアミノフェン:
これらも一般的な過量服薬(OS)でよく見られますが、物質特有の呼気臭はありません。
救急救命士としての臨床的視点:臭いによるアセスメント
救急現場において、呼気や嘔吐物の「臭い」は原因物質を絞り込むための有力な手がかりになります。
| 物質・病態 | 特徴的な臭い |
| シアン化合物 | アーモンド臭 |
| 有機リン(殺虫剤など) | ニンニク臭(または石油臭) |
| 有機溶剤(シンナーなど) | シンナー臭(芳香臭) |
| エタノール(お酒) | 酒気臭 |
| 糖尿病性ケトアシドーシス | アセトン臭(甘酸っぱい臭い・果実臭) |
| 尿毒症(腎不全) | アンモニア臭(尿臭) |
現場での安全管理(重要)
シアンや有機リンの中毒が疑われる場合、救急隊員は以下の点に厳重な注意を払わなければなりません。
二次被害の防止:
傷病者の呼気や嘔吐物から毒性ガス(シアン化水素など)が発生している可能性があるため、車内などの密閉空間では十分に換気を行い、必要に応じて防護具を着用します。
口対口の人工呼吸は禁忌:
救急隊員が行うことはありませんが、バイスタンダーが毒物中毒を疑わずに口対口人工呼吸を行うと、救助者自身が中毒に陥る危険があります。
特定の解毒剤:
シアン中毒には、ヒドロキソコバラミン(ビタミンB12誘導体)などの特効薬が存在します。早期に原因を推定し、受け入れ病院へ伝達することが救命率を左右します。
まとめ:
「シアン = アーモンド臭」「有機リン = ニンニク臭」「糖尿病 = アセトン(甘酸っぱい)臭」の3点セットは、国家試験でも現場でも必須の知識です。
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