7 5歳の男児。川で溺れたところを通行人が救出し救急要請した。
救急隊到着時観察所見:意識JCS100。呼吸数24/分。脈拍80/分。血圧88/62mmHg。SpO2値90%。目立った外傷所見はなく、口腔内に多量の水を認め、ゴロゴロ音がしている。
まず行うことはどれか。1つ選べ。
1 保温
2 胸骨圧迫
3 人工呼吸
4 AED装着
5 口腔内吸引
解答 5
【AIによる解説】
第7問は、溺水(できすい)傷病者に対する初期対応の優先順位を問う問題です。救急活動の基本である「ABC(気道・呼吸・循環)」の原則に忠実な判断が求められます。
解説:気道確保の優先順位
正解は5(口腔内吸引)です。
救急アセスメントの鉄則は、常に A(Airway:気道)→ B(Breathing:呼吸)→ C(Circulation:循環) の順番で異常を解決することです。
5 口腔内吸引(A:気道):
観察所見に「口腔内に多量の水」「ゴロゴロ音がしている(液体による不完全気道閉塞)」とあります。このままでは、酸素を肺に送ることができません。まずは、物理的な障害物(水)を取り除いて気道を確保する(A)ことが最優先です。
吸引を行わずに人工呼吸(B)を行うと、口の中にある水をさらに奥(肺)へ押し込んでしまい、病態を悪化させる危険があります。
他の選択肢の分析
1 保温:
溺水に伴う低体温症の予防は極めて重要ですが、気道が塞がっている状態では、保温よりも先に酸素を取り込める状態にすることが優先されます。
2 胸骨圧迫 / 4 AED装着(C:循環):
脈拍が80/分(5歳児としてやや遅めですが、触知できている)あり、心停止状態ではありません。したがって、これらは現時点では適応外です。
3 人工呼吸(B:呼吸):
気道(A)をクリアにした後に行うべき処置です。まずは吸引が先です。
救急救命士としての臨床的視点:溺水のアセスメントと処置
溺水における呼吸不全:
溺水は、肺に水が入ることによる直接的な障害(肺水腫)や、喉が閉じること(喉頭痙攣)による窒息が原因で低酸素血症に陥ります。本症例の $SpO_2$ 90%という数値は、すでに酸素不足が深刻であることを示しています。
小児の心停止:
小児の心停止の多くは、心臓そのものの病気ではなく、本症例のような「呼吸のトラブル(低酸素)」が原因で、最終的に心臓が止まる(呼吸原性心停止)という経過を辿ります。心臓が止まる前に、いかに早く気道を確保して酸素を送れるかが勝負です。
胃内容物の逆流に注意:
溺水傷病者は大量の水を飲み込んでいることが多く、処置中に胃から水や内容物が逆流してきやすいです。常に吸引準備を整え、必要に応じて顔を横に向けるなどの工夫が必要です。
現場でのポイント:
「音がしている気道異常は、まず掃除(吸引)から。」
気道(A)が通らなければ、その後の呼吸管理(B)も循環管理(C)も効果を発揮しません。基本に立ち返ることが重要です。
0 件のコメント:
コメントを投稿