24 48歳の男性。就寝中、左腰背部の激痛を突然訴え、家族が救急要請した。
救急隊到着時観察所見:意識清明。呼吸数20/分。脈拍90/分、整。血圧142/68mmHg。体温36.7°C。SpO2値98%。痛みは軽減しているが腰背部に叩打痛を認める。
この傷病者で最も考えられる疾患はどれか。1つ選べ。
1 急性膵炎
2 自然気胸
3 尿管結石
4 腰椎すべり症
5 腰椎椎間板ヘルニア
解答 3
【AIによる回答】
第24問は、背部から腰部にかけての激痛(背部痛・腰痛)の鑑別に関する問題です。
解説:尿管結石の特徴的な所見
正解は3(尿管結石)です。
この傷病者の訴えと身体所見は、尿路結石(特に尿管結石)の典型的なパターンを示しています。
3 尿管結石:
発症様式: 突然の、のたうち回るような激痛(仙痛)が特徴です。夜間や早朝に発症することが多いのも特徴の一つです。
部位: 結石が詰まった側の腰背部から側腹部、下腹部にかけて痛みが走ります。
叩打痛(こうだつう): 背中(腎臓があるあたり)を軽く拳で叩くと響くような痛み(肋骨脊柱角叩打痛:CVAT)を認めます。これは結石によって尿が堰き止められ、腎盂の内圧が上がっているサインです。
バイタルサイン: 痛みは激しいものの、バイタルサイン自体は比較的安定していることが多く、本症例(意識清明、血圧・脈拍も許容範囲内)と一致します。
他の選択肢の分析
1 急性膵炎:
上腹部から背部にかけての激痛が起こりますが、多くは「飲酒」や「脂っこい食事」が誘因となり、前かがみの姿勢(膝胸位)で痛みが和らぐのが特徴です。
2 自然気胸:
突然の胸痛や背部痛を起こしますが、同時に「呼吸困難」を伴うことが多く、聴診で呼吸音の左右差を認めます。
4 腰椎すべり症 / 5 腰椎椎間板ヘルニア:
いわゆる「腰痛」の原因ですが、急激な内臓痛のような激痛や叩打痛(背中を叩くと響く痛み)とは性質が異なります。これらは多くの場合、脚のしびれや運動制限を伴います。
救急救命士としての臨床的視点:緊急性の判断
「死なない激痛」と「死ぬ激痛」の鑑別:
尿管結石は「人類が経験する最大の痛み」の一つと言われるほど苦しいものですが、それ自体で命を落とすことは稀です。救急現場で最も重要なのは、同じような背部痛を起こす「大動脈解離」や「腹部大動脈瘤破裂」ではないことを確認することです。
血圧に左右差はないか?
お腹に拍動性の腫瘤(ドクドク動く塊)はないか?
顔面蒼白でショック状態になっていないか?
既往歴の確認:
尿管結石は再発しやすいため、「以前にも同じような痛みがあったか」を聞くことが、疾患特定の大きな手がかりになります。
随伴症状の確認:
血尿の有無や、吐き気・嘔吐の有無も尿管結石を強く疑う材料になります。
まとめ:
「突然の腰背部激痛 + 背中の叩打痛(叩くと響く) = 尿管結石」
この組み合わせは、現場での「緊急度判断(生命に別状はないが、苦痛が極めて強い)」に直結する重要な知識です。
0 件のコメント:
コメントを投稿