3 53歳の救急隊員の男性。以前から消防署内の人間関係のストレスがあり、離婚問題も抱えていた。ある日運転する救急車をガードレールにぶつける自損事故を起こした。
搬送傷病者はおらず、同乗中の同僚救急隊員にけがはなかった。本人は打撲程度の軽傷であったが病院受診し明らかな外傷は認められなかった。その後、高校卒業以降35年間の記憶が消えていることに気づいた。
このストレス反応で認められるのはどれか。1つ選べ。
1 解離症状
2 回避症状
3 覚醒症状
4 陰性症状
5 再体験症状
解答 1
【AIによる回答】
第3問は、強い心理的ストレスによって生じる解離性障害(解離症状)に関する問題です。
解説:ストレス反応と解離
正解は1(解離症状)です。
本事例では、職場での人間関係のストレスや離婚問題といった極めて強い心理的負荷がある中で、交通事故という衝撃的な出来事を経験しています。
1 解離症状:
「解離」とは、本来なら連続しているはずの意識、記憶、思考、アイデンティティが、ストレスから自分を守るために一時的に切り離されてしまう状態です。
本症例のように、医学的(身体的)な脳損傷がないにもかかわらず、特定の期間や自分に関する重要な記憶がすっぽりと抜け落ちてしまう(解離性健忘)のは、典型的な解離症状の一つです。
他の選択肢の分析(PTSDなどの症状)
選択肢2、3、5は、主にPTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断基準に含まれる特徴的な症状です。
2 回避症状:
トラウマとなった出来事を思い出すような場所、人、会話を極力避けようとすることを指します。
3 覚醒症状(過覚醒):
常に神経が張り詰め、過剰に警戒したり、些細なことでひどく驚いたり、不眠になったりする状態です。
5 再体験症状(フラッシュバック):
恐ろしい体験が、自分の意志とは関係なく、当時の感覚(音や臭い、恐怖)を伴って鮮明に蘇ることを指します。
4 陰性症状:
主に統合失調症で見られる、感情の平板化、意欲の低下、思考の貧困などを指す用語です。
救急救命士としての臨床的視点:CISM(ストレス管理)
この問題は、救急隊員自身のメンタルヘルス管理の重要性も示唆しています。
デブリーフィング(CISM):
凄惨な現場や事故の後、隊員同士で感情を共有し、ストレスを軽減させる仕組みが必要です。一人で抱え込むと、本症例のような深刻な精神症状に繋がることがあります。
身体疾患との鑑別:
現場でのアセスメントとしては、記憶障害がある場合、まずは交通事故による「脳振盪」や「外傷性脳損傷」など、物理的な原因を疑い病院へ搬送することが鉄則です。検査で「明らかな外傷がない」と判明して初めて、心理的原因が考慮されます。
まとめ:
「耐え難いストレスによって記憶や意識が切り離される = 解離症状」と結びつけて覚えましょう。自分たち救急隊員の心を守ることも、プロフェッショナルとしての重要な役割です。
0 件のコメント:
コメントを投稿