30 生後4か月の乳児。呼吸が止まっているため、母親が救急要請した。
救急隊到着時観察所見意識JCS300。心肺停止状態。心電図波形は心静止。体温35.0℃。皮膚は蒼白である。外表の異常は認めない。
20:00に哺乳させ、いつも通りにベビーベッドに寝かせ、就寝した。翌朝に哺乳をさせようとした時に顔色が悪く、呼吸をしていないことに母親が気付いたとのことである。
この病態の発生リスク因子となるのはどれか。1つ選べ。
1 夏季
2 母乳栄養
3 仰向け寝
4 両親の喫煙
5 予定日通りの出生
解答 4
【AIによる回答】
第30問は、乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)のリスク因子に関する問題です。
解説:乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスク管理
正解は4(両親の喫煙)です。
SIDSは、それまで健康で元気に育っていた赤ちゃんが、睡眠中に予兆なく突然死に至る病気です。原因は完全には解明されていませんが、以下の3つの因子が「修正可能なリスク因子(気をつけることで防げるもの)」として厚生労働省からも啓発されています。
4 両親の喫煙:
タバコに含まれるニコチンなどが赤ちゃんの呼吸中枢に悪影響を及ぼし、SIDSの発症リスクを大幅に高めることが統計的に証明されています。妊婦自身の喫煙はもちろん、周囲の「受動喫煙」も極めて大きなリスク因子です。
他の選択肢の分析
1 夏季:
統計的には、SIDSは冬場(冬季)に多く発生する傾向があります。これは着せすぎや暖房による「体温の上がりすぎ(オーバーヒーティング)」が関係していると考えられています。
2 母乳栄養:
母乳育児はSIDSの発症率を「下げる」ことが知られています。したがって、リスク因子ではなく、むしろ予防・保護的な因子です。
3 仰向け寝:
「仰向けに寝かせること」はSIDSのリスクを下げます。逆に「うつ伏せ寝」は、SIDSの最大のリスク因子の一つとされています。
5 予定日通りの出生:
「早産(低出生体重児)」の場合にSIDSのリスクが高まることが分かっています。予定日通りの出生はリスク因子にはなりません。
救急救命士としての臨床的視点:現場での対応と家族への配慮
蘇生処置の判断:
本症例は「心静止」かつ「体温35.0℃(低体温)」ですが、死亡が疑われる場合でも「死後硬直」や「死斑」といった確実な死亡の兆候がない限りは、直ちに心肺蘇生(CPR)を開始し、迅速に搬送します。乳児は低体温により脳が保護されている可能性もわずかに考慮されます。
虐待(AHT/SBS)との鑑別:
不自然な外傷(あざ)がないか、現場の状況(不適切な寝具、タバコの吸い殻など)を確認します。ただし、現場で家族を問い詰めたり、犯人と決めつけたりするような言動は厳禁です。
家族へのグリーフケア:
突然わが子を失った家族は、想像を絶するショックと「自分のせいではないか」という罪悪感に襲われています。救急隊としては、適切な処置を行いながらも、家族の心情に寄り添った対応が求められます。
まとめ(SIDSの3大予防ポイント):
仰向けに寝かせる(うつ伏せ寝を避ける)
できるだけ母乳で育てる
タバコをやめる(周囲の喫煙も避ける)
この3点は、救急救命士の試験対策だけでなく、地域住民への啓発活動(予防救急)としても非常に重要な知識です。
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