39 60歳の男性。入浴後、1時間経過してもあがってこないため息子が見に行くと、浴槽内のお湯に顔面まで浸かった状態だったため救急要請した。
救急隊到着時観察所見:浴槽から出され洗い場で息子が胸骨圧迫を行ってい初期評価では脈拍は触知でき、呼吸停止と判断した。
まず行う対応として適切なのはどれか。1つ選べ。
1 頸椎保護
2 傷病者の搬出
3 胸骨圧迫の継続
4 除細動パッドの装着
5 バッグ・バルブ・マスク換気
解答 5
【AIによる回答】
第39問は、溺水(できすい)における蘇生手順の優先順位を問う問題です。
解説:溺水における「呼吸」の最優先管理
正解は5(バッグ・バルブ・マスク換気)です。
この傷病者の状態を整理すると、初期評価の時点で「脈拍は触知できるが、呼吸は停止している」ということがわかります。
5 バッグ・バルブ・マスク換気:
溺水の原因は、水に浸かることによる「呼吸停止(窒息)」が根本にあります。
初期評価で脈がある(心停止ではない)場合、病態は呼吸原性の意識障害・心停止寸前の状態です。放置すればすぐに低酸素から心停止へと移行します。
そのため、直ちに高濃度酸素を用いた人工呼吸(バッグ・バルブ・マスク換気)を行い、酸素を体内に送り込むことが最優先の救命処置となります。
他の選択肢の分析
1 頸椎保護:
飛び込みによる外傷などが疑われる場合は必要ですが、本症例は「入浴後の浴槽内での沈没」であり、外傷の機転がはっきりしないため、呼吸管理よりも優先されるものではありません。
2 傷病者の搬出:
洗い場という安全な場所ですでに救護されているため、処置を開始する前に搬出を優先する必要はありません。現場でまず呼吸を確保します。
3 胸骨圧迫の継続:
「脈拍を触知」しているため、現在は心停止ではありません。脈がある傷病者に胸骨圧迫を行う必要はなく、人工呼吸に集中すべきです。
4 除細動パッドの装着:
脈があるため、直ちに電気ショックが必要な状態ではありません。ただし、容態が急変して心停止になるリスクは高いため、呼吸管理を行いながら並行して準備することはありますが、第1優先は換気です。
救急救命士としての臨床的視点:溺水の蘇生アルゴリズム
「A-B-C」の順守:
通常の心原性心停止(突然倒れたなど)では、胸骨圧迫から始める「C-A-B」が推奨されますが、溺水や窒息などの呼吸原性停止では、酸素不足が原因であるため、呼吸(A:気道、B:呼吸)の確保を重視します。
肺内の水の処理:
無理に水を吐き出させようとする必要はありません。水を出すために腹部を圧迫すると、胃の内容物が逆流して誤嚥を招き、さらに状況を悪化させます。速やかに人工呼吸を開始し、必要であれば吸引を行います。
ヒートショックの背景:
高齢者が冬場の入浴中に沈没した場合、背景に「ヒートショック(急激な血圧変化)」による心筋梗塞や脳卒中が隠れている可能性があります。呼吸を確保した後は、迅速なバイタルサインの確認と病院選定が必要です。
まとめ:
「溺水 + 脈はあるが息がない = 直ちにバッグ・バルブ・マスクで換気!」
酸素不足を解消することが、心停止への移行を防ぐ唯一の方法です。
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