5 45歳の男性。薬物乱用者の事情聴取中に反応が鈍くなったため警察官が救急要請した。
救急隊到着時観察所見:意識JCS20呼吸数36/分。脈拍124/分、整。血圧200/110mmHg。SpO2値95%。異常な発汗と瞳孔散大とを認める。
この傷病者が曝露した可能性があるのはどれか。1つ選べ。
1 トルエン
2 ヘロイン
3 モルヒネ
4 エタノール
5 アンフェタミン
解答 5
【AIによる回答】
第5問は、急性薬物中毒における「トキシドローム(中毒症候群)」の知識を問う問題です。身体所見から原因物質を推測する力が必要です。
解説:交感神経作動薬による身体所見
正解は5(アンフェタミン)です。
この傷病者の所見を整理すると、以下のようになります。
交感神経の過剰興奮: 頻呼吸(36/分)、頻脈(124/分)、高血圧(200/110mmHg)、瞳孔散大。
代謝亢進: 異常な発汗。
精神症状: 意識障害(JCS 20)。
これらの所見は、交感神経作動性トキシドロームと呼ばれる典型的な状態です。
5 アンフェタミン(覚醒剤):
アドレナリンやドパミンの放出を促し、交感神経を強烈に刺激します。その結果、「血圧上昇・頻脈・瞳孔散大・発汗」といった、戦う時の身体状態(興奮状態)が極限まで高まります。事情聴取中という状況設定も、覚醒剤事犯を示唆しています。
他の選択肢の分析
2 ヘロイン / 3 モルヒネ(オピオイド):
アンフェタミンとは正反対の所見が出ます。「呼吸抑制(呼吸が遅くなる)」「徐脈」「血圧低下」「ピンポイント瞳孔(瞳孔縮小)」が特徴です。
1 トルエン(シンナー):
初期は多幸感や興奮が見られますが、基本的には中枢神経抑制に働き、泥酔状態のようになります。瞳孔散大やこれほどの高血圧は特徴的ではありません。
4 エタノール(アルコール):
中枢神経抑制剤です。進行すると意識障害、呼吸抑制、血圧低下を招きます。
救急救命士としての臨床的視点:現場の安全と合併症
覚醒剤(アンフェタミン類)中毒の傷病者を扱う際は、以下の点に注意が必要です。
隊員の安全確保:
幻覚や妄想から、突然暴れ出す(急性錯乱状態)リスクがあります。警察官と連携し、自分たちの安全を第一に活動します。
身体的リスク(高血圧緊急症):
血圧200/110mmHgという数値は、脳出血や大動脈解離、急性心筋梗塞を引き起こすのに十分な危険値です。速やかな搬送と、車内での心電図モニタリングが不可欠です。
高体温への注意:
交感神経の過剰興奮により、異常な高熱(うつ熱)が出ることがあります。必要に応じて冷却などの処置を検討します。
まとめ:
「血圧も脈も瞳孔も『上がる』のが覚醒剤(アンフェタミン)」
「すべてが『下がる』のが麻薬(オピオイド)」
この対比をしっかりと押さえておきましょう。
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