9 50歳の女性。夜間に息苦しさを訴え気管支拡張薬を吸入するが症状が軽減しないため救急要請となった。
救急隊到着時観察所見:意識JCS1。呼吸数24/分。脈拍92/分、整。血圧180/92mmHg。SpO2値92%。肥満(身長150cm、体重80kg)があり、高血圧と気管支喘息とのため近医に通院中とのことである。
搬送中に適切な体位はどれか。1つ選べ。
1 仰臥位
2 起坐位
3 側臥位
4 頭部高位
5 足側高位
解答 2
【AIによる回答】
第9問は、呼吸困難を呈する傷病者の適切な体位に関する問題です。病態(気管支喘息)と身体的特徴(肥満)から、最も呼吸が楽になる姿勢を選択する必要があります。
解説:起坐位(きざい)の有用性
正解は2(起坐位)です。
2 起坐位:
上半身を完全に起こして、座った姿勢をとることです。
なぜ呼吸が楽になるのか?
横隔膜が下がる: 座ることで腹部内臓の重みが下方に移動し、横隔膜が下がりやすくなります。これにより、肺が膨らむスペースが広がり、呼吸効率が上がります。
静脈還流量の減少: 心臓に戻る血液量が少し減るため、肺への負担(肺うっ血がある場合など)が軽減されます。
本症例のように、気管支喘息の発作がある場合や、肥満によってお腹の肉が横隔膜を押し上げている状況では、横になる(仰臥位)よりも起坐位の方が圧倒的に呼吸がしやすくなります。
他の選択肢の分析
1 仰臥位(あおむけ):
重力で内臓が横隔膜を押し上げ、肺の広がりを邪魔します。また、肥満がある場合は喉の周辺の組織が気道を圧迫しやすいため、最も避けるべき体位です。
3 側臥位(横向き):
嘔吐がある場合や、意識障害があり気道を確保(回復体位)する際には有効ですが、呼吸困難そのものを軽減する効果は起坐位に劣ります。
4 頭部高位(セミファーラー位):
上半身を少し(15〜30度)起こす体位です。悪くはありませんが、喘息発作時にはより垂直に近い「起坐位」の方が高い効果を得られます。
5 足側高位(ショック体位):
足を高くする体位です。血圧が低いときに行いますが、本症例は血圧が高く(180/92mmHg)、呼吸が苦しいため、絶対に行ってはいけない体位です(さらに呼吸が苦しくなります)。
救急救命士としての臨床的視点:現場での体位管理
「本人が一番楽な姿勢」を優先する:
重い喘息や心不全の傷病者は、本能的に「座りたい」と言ったり、前かがみになって呼吸したりします。これを無理に寝かせることは、呼吸停止を招く危険があるため厳禁です。
搬送時の工夫:
救急車のストレッチャーで搬送する際も、背もたれを垂直に近い角度まで起こして、足をおろした状態(または膝を軽く曲げた状態)を保ちます。
バイタルサインの解釈:
血圧が180/92mmHgと高いのは、息苦しさによるストレスや、喘息発作に伴う交感神経の興奮、あるいは背景にある高血圧症を反映しています。
まとめ:
「呼吸が苦しい人 = 座らせる(起坐位)」
これが救急現場における鉄則です。特に喘息や心不全、肥満がある場合には迷わずこの体位を選択しましょう。
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