2025年12月24日水曜日

第48回A問題 第112問 縊頸(いけい:首吊り)において、頸部および頸椎にどのような物理的な力が加わるかを問う問題

 第48回救急救命士国家試験A問題はこちら

112 縊頸により頸椎に加わる外力はどれか。2つ選べ。

1 伸長

2 圧迫

3 回旋

4 過屈曲

5 過伸展


解答 1と5


【AIによる解説】


第112問は、縊頸(いけい:首吊り)において、頸部および頸椎にどのような物理的な力が加わるかを問う問題です。受傷機転を解剖学的に理解しているかが問われます。


解説:縊頸における頸椎への外力

正解は1(伸長)5(過伸展)です。

縊頸では、索状物(ロープなど)に自分の体重が完全または部分的にかかることで、頸部に複雑な力が加わります。

  • 1 伸長(しんちょう):

    体重によって、頭部と胴体が引き離される方向の力が加わります。これにより、頸椎の節々が引き伸ばされます。

  • 5 過伸展(かしんてん):

    索状物が顎の下や喉にかかった状態で体重がかかると、頭部が後ろへ強く反け反る力が加わります。これが「過伸展」です。

    • 典型的な例として、絞首刑などの高所からの落下を伴う縊死で見られる「ハングマン骨折(第2頸椎の椎弓骨折)」は、この伸長と過伸展が組み合わさることで発生します。


他の選択肢の分析

  • 2 圧迫:

    上から重いものが落ちてきたり、頭から地面に突っ込んだりした際に、頸椎が押し潰される力です。縊頸では逆に引き延ばされるため、不適切です。

  • 3 回旋:

    首を左右に捻る力です。縊頸の主たる受傷機転ではありません。

  • 4 過屈曲:

    首が前方に強く曲がる力です。後頭部に索状物がかかるケースなどはあり得ますが、縊頸で頸椎損傷を来す主な機転は、顎が持ち上げられる方向(過伸展)です。


救急救命士としての臨床的視点:縊頸傷病者の救護

現場で縊頸傷病者に接触した際、以下の管理が重要になります。

  1. 頸椎保護の徹底:

    自力で索状物を切断して落下した場合などはもちろん、そうでなくても上記のような外力が加わっているため、頸椎損傷があるものとして頸椎カラー等による固定を検討します。

  2. 気道管理:

    索状物による直接的な圧迫で、喉頭(のど)や気管が骨折・損傷している可能性があります。気道確保が困難になるケースを想定します。

  3. 意識レベルと呼吸の観察:

    脳への血流が遮断されていた時間や、呼吸が止まっていた時間を確認します。意識があっても、後から喉の腫れ(浮腫)が進行して窒息する恐れがあるため、厳重な観察が必要です。

縊頸は単なる「窒息」だけでなく、「頸椎損傷」や「喉頭損傷」を合併しうる全身外傷として捉える必要があります。

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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。