2025年12月24日水曜日

第48回A問題 第115問 眼の穿通性外傷(刺入物がある場合)の現場対応に関する問題

 第48回救急救命士国家試験A問題はこちら

115 眼の異物への対応について適切なのはどれか。1つ選べ。

1 患側の眼球を冷却する。

2 刺入物の周囲を圧迫固定する。

3 確認できる異物をすべて除去する。

4 眼をこすって涙で眼外に流しだすよう促す。

5 健側の眼球をガーゼで覆って視覚を遮断する。


解答 5


【AIによる解説】


第115問は、眼の穿通性外傷(刺入物がある場合)の現場対応に関する問題です。眼球は非常に繊細な組織であり、わずかな動きが致命的な視力障害につながるため、特殊な固定戦略が求められます。


解説:眼の異物と「両眼遮断」の原則

正解は5です。

眼球には「共連動(共同運動)」という性質があります。片方の目(健側)が動くと、もう片方の目(患側)も反射的に同じ方向に動いてしまいます。

  • 5 健側の眼球をガーゼで覆う:

    もし健側の目が見える状態だと、傷病者は周囲を見ようとして目を動かします。すると、異物が刺さっている患側の眼球も一緒に動いてしまい、刺入物が眼球内部をさらに傷つけたり、眼房水が漏れ出したりする原因になります。

    これを防ぐために、両方の目をガーゼやアイカップで覆い(両眼遮断)、眼球の動きを最小限に抑えるのが適切な処置です。


他の選択肢の分析(不適切な理由)

  • 1 患側の眼球を冷却する:

    眼球への直接的な冷却や圧迫は、眼内圧を変化させ、組織の損傷を悪化させる恐れがあるため行いません。

  • 2 刺入物の周囲を圧迫固定する:

    他の部位の刺入物(第114問のナイフなど)は根元を固定しますが、眼球の場合は「圧迫」は禁忌です。眼球を少しでも押すと、中の組織が外に飛び出したり、異物が深く刺さったりするため、接触しないように「保護(シールド)」するのが基本です。

  • 3 確認できる異物をすべて除去する:

    刺さっているものを抜くのは厳禁です。また、表面にある小さなゴミ(結膜異物)であっても、穿通の可能性がある場合は現場で深追いせず、医療機関での処置に任せます。

  • 4 眼をこすって流しだすよう促す:

    目をこすることは、異物で角膜や結膜を傷つける最も危険な行為です。絶対にさせてはいけません。


救急救命士としての臨床的視点:眼外傷のケア

眼に異物が刺さった傷病者に対し、現場では以下の配慮を行います。

  1. 不安への配慮:

    両目を覆うと傷病者は完全に視覚を奪われ、強い恐怖心を感じます。今から何をするのか、どこへ運ぶのかを、常に声掛けしながら活動することが不可欠です。

  2. 体位の工夫:

    頭を少し高く(頭部挙上)して、眼内の圧力が上がらないようにします。

  3. 紙コップなどの活用:

    もし長い異物が刺さっている場合は、直接ガーゼで覆うと圧迫されてしまうため、紙コップなどを被せてその上から固定する方法(シールド固定)が有効です。

「健側の目を塞ぐことが、患側の目を守ることに繋がる」という知識は、眼外傷における救急活動の重要なポイントです。

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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。